先端技術をソアラやセリカに初搭載! トヨタが生み出した斬新なサスペンションとは
庶民派カローラスポーツにも高価な足回りを採用
●スカイフックサスペンション(スカイフックTEMS)
ソアラに採用された「TEMS」をさらに進化させたサスペンションが、1996年に登場した2代目「ウィンダム」にも搭載された「スカイフックサスペンション(スカイフックTEMS)」で、1999年モデルから搭載されました。
「スカイフック」とは、車体を空中に浮かした(宙吊り=スカイフック)状態で路面からの凹凸入力に対して、タイヤだけが上下動し、車体の動きを小さくするという理論です。
そこでトヨタは、金属バネとガスバネを併用したハイドロニューマチックサスペンションを採用し、路面の凸凹に対して最適な減衰力の制御をおこない、フラットな車体姿勢をキープさせるために「TEMS」を進化させました。
もともとはオフロード性能を確保しつつオンロードでの性能向上を目的に開発されたアクティブサスペンションの一種で、1998年には「ランドクルーザー(100系)」に搭載されています。
この乗用車版をウィンダムに採用したというわけです。
実際には、「TEMS」→振動を電気的に検出する「ピエゾ式TEMS」→「スカイフックTEMS」→「インフィニティTEMS」と続き、現在の「AVS」へと進化しています。
●AVS(Adaptive Variable Suspension system)
現在のトヨタにおいて、最新の電子制御サスペンションが「AVS(アダプティブ・バリアブル・サスペンション)」です。
これまでサスペンションの減衰力を電子制御するシステムの開発・熟成に力を入れてきたトヨタですが、このAVSは路面の凸凹や車速、ブレーキ操作などで生じるクルマの挙動変化に応じて最適な減衰力を、進化した電子システムで積極的に制御し、快適な乗り心地と高度な操縦安定性を実現する足回りになっています。
つまりこのAVSが、トヨタがこだわり続けてきたアクティブサスペンションの最進化系ともいえます。
すでにレクサスの上位モデルやトヨタ「クラウン」「ランドクルーザープラド」など一部車種に搭載されていますが、非常に複雑かつ高価な足回りをあえて「カローラスポーツ」に装着可能にした意義は大きいでしょう。
ちなみにカローラスポーツのノーマルサスペンションも非常に出来がいいと評判で、スイッチひとつで3つのドライブモード(ソフト/ノーマル/ハード)に切り替え可能ですが、上位グレードにオプション設定されるAVSは、「コンフォート」と「スポーツS+」という2モードが追加されて5モードになり、より状況と好みに応じた足回りのセッティングに変更できるようになっています。
AVS誕生当初は9段階だった減衰力ですが、現在は無段階で減衰力を制御できるところまで進化しました。
AVSの価格は、10万8000円に設定されており、装着しなくてもノーマルサスペンションで十分ではありますが、1ランクも2ランクも上質な乗り心地を味わえることから、オーナーの満足度は高くなると思われます。
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かつて、他メーカーが「マルチリンク」や「ダブルウィッシュボーン」の採用を進める一方で、トヨタは電子制御サスペンションやスーパーストラットに活路を見出し、独自に進化させてきました。
どれが良い悪いではなく、トヨタが考えた操縦安定性と走行性能、快適性を導き出すための施策のひとつだったというわけです。
セリカの写真が不適当ですねぇ(笑)