8000万円は安い? ポルシェでも2度と作れない「カレラGT」のスペックとは?

V10を6速MTで操る「カレラGT」の希少性

 カレラGTは、インテリアも実に魅力的なデザインである。

 RMサザビーズの「オープンロード」オークションに出品されたカレラGTは2005年式で(デリバリーは2004年)、すでに生産から15年以上の時が経過しているが、ダークグレーで統一されたキャビンは、その年式を考えればコンディションは十分に魅力的だろう。

 ちなみにドキュメントの残る最後のサービス記録は、新車でアメリカへとわたり、その後スイスへと戻った後の2020年3月のもので、この時の走行距離は1万6327kmとなっている。

●2005 ポルシェ「カレラGT」

排気量のV10エンジンをMTで操る「硬派なポルシェ」(C)2020 Courtesy of RM Sotheby's
排気量のV10エンジンをMTで操る「硬派なポルシェ」(C)2020 Courtesy of RM Sotheby's

 カレラGTの基本構造体はCFRP製のモノコックタブだが、その前後にはサブフレームが接合されている。とくにシェル型のデザインを採用した、CFRP製のリアサブフレームのフィニッシュは、溜息が出るほど美しい仕上がりだ。

 こうした軽量化策で、カレラGTの車重はDIN規格値でも1380kgと、極めて軽量なモデルに仕上がった。

 重量がわずかに100kgというこのサブフレーム上に搭載されるエンジンは、そもそもポルシェがル・マン24時間レースへの進出を狙って開発を進めてきた68度のバンク角を持つV型10気筒DOHCである。

 排気量は5.5リッターから5.7リッターに拡大され、ポルシェ自慢の無段階式カムシャフト・タイミング・コントロール機構、いわゆるバリオカムも吸気側に採用されている。

 こうした結果得られた最高出力は612psと強力なもので、これに6速MTが組み合わせられた。ハイパースポーツもハイブリッド化が進み、デュアルクラッチなど2ペダル化がスタンダードになったいま、大排気量のV10エンジンをMTで操ることができるクルマが、この先登場することはほぼないだろう。

 こうした意味でも、カレラGTは「硬派なポルシェ」の1台として後世に伝えられる、極めて貴重なモデルである。

 今回RMオークションが提示したエスティメート(予想落札価格)は、77万5000−82万5000スイスフラン(邦貨換算約9040万−9600万円)。残念ながらわずかに予想落札価格に届かず、71万スイスフラン(邦貨換算約8300万円)が最高ビッドであった。

 新車価格はおよそ5000万円ほどであったので、予想落札価格に到達しなかったものの、確実にプレミアムがついた価格をキープしているといっていいだろう。

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