なぜ日産 GT-Rやエルグランドは10年以上売り続ける? ご長寿モデルが増加する事情とは
かつての国産車は約4年ごとにフルモデルチェンジをしていましたが、いまでは10年以上も売り続けるモデルが増えました。フルモデルチェンジ周期が延びているのには、どのような事情があるのでしょうか。
フルモデルチェンジ周期の限界はどれくらいなのか?
最近、発売されてから10年以上を経過したロングセラーモデルが増えました。
10年以上経過した車種は登場順に、2007年登場の日産「GT-R」、トヨタ「ランドクルーザー」、三菱「デリカD:5」、2008年登場の日産「フェアレディZ」、2009年登場の日産「フーガ」とトヨタ「ランドクルーザープラド」、2010年登場の日産「エルグランド」「マーチ」、三菱「RVR」、2011年登場のレクサス「CT200h」、トヨタ「アクア」という具合です。
1980年代までの日本車は、フルモデルチェンジの周期が約4年で、2年後にマイナーチェンジを挟むパターンが一般的でした。初回車検も2年後だったからです。
4年ごとにフルモデルチェンジすれば、2回目の車検を受ける前に売却すると、常に新しいクルマに乗り替えられました。
しかし1983年に初回車検が3年後になった影響もあり、4年の周期が次第に延びていき、1990年以降は5年以上の車種が増えましたが、それでも10年を経過することはほとんどなかったです。
なぜ最近は長年にわたりフルモデルチェンジされない車種が増えたのでしょうか。
先に挙げた長寿モデルのなかで、フェアレディZは次期型のデザインなどを2020年9月に公表しました。ランドクルーザーも2021年にフルモデルチェンジを控えています。
スポーツカーや悪路向けのSUV、商用バンなどは、生産台数が少ないこともあってフルモデルチェンジの周期が長くなり、10年以上の車種もあります。
その一方で、軽自動車やコンパクトカー、ミニバン、セダンなどの周期は6年から7年が多いです。
これらのカテゴリは、スポーツカーや悪路向けのSUVに比べて売れ行きが好調で、ライバル車同士の競争も激しいからです。販売面で優位を保つには10年以上では長すぎるのです。
たとえばトヨタ「ヤリス」は2020年に発売されましたが、その前身となる「ヴィッツ」は2010年に登場しています。10年ぶりのフルモデルチェンジで、これが周期の限界でしょう。
すでに販売を終えた最終型のトヨタ「エスティマ」は2006年に発売。2016年にはフルモデルチェンジではなくマイナーチェンジを受け、この3年後の2019年に廃止されています。
発売の10年後にマイナーチェンジをしたのでは、その後のフルモデルチェンジは難しいわけです。
冒頭で取り上げた車種の場合はどうでしょうか。
ミニバンのエルグランドとデリカD:5、ハッチバックのマーチとレクサスCT200hについて、フルモデルチェンジするかどうかはわかりません。
ミニバンは少子高齢化の影響で、今後の需要が下がる可能性があります。いまでは3列シートのSUVも選べ、海外のニーズも見込みにくいです。
また、ハッチバックの需要も世界的に先細りしており、ボルボ「V40」は終了しました。その代わりコンパクトSUVの「XC40」が用意されています。
そうなるとレクサスCT200hも、コンパクトSUVのUXに統合される可能性があります。
マーチも同様で、2020年12月にフルモデルチェンジした日産新型「ノート」は国内専用車なので販売に力を入れることから、相対的にマーチのニーズは下がります。
RVRは、以前の三菱の経営計画にフルモデルチェンジをおこなう記載がありましたが、いまは消滅しています。
RVRはクロスオーバーSUVの「エクリプスクロス」とプラットフォームが共通で、ホイールベース(前輪と後輪の間隔)の数値も等しいです。
全長はRVRのほうが180mm短いのでコンパクトですが、三菱のSUVには「アウトランダー」もあります。大/中/小と3車種をそろえる必要があるか疑問でしょう。
コンパクトなハイブリッド専用車のアクアもニーズが薄れています。アクアが登場した2011年には、コンパクトな5ナンバーサイズのハイブリッドモデルは珍しかったのですが、いまではヤリス、「ヤリスクロス」、「シエンタ」など、トヨタは複数のコンパクトモデルにもハイブリッドを用意しています。
アクアの役目は終わったと見ることもできますが、アクアはコンパクトなハイブリッドのイメージリーダーとして次期型の開発が進んでいるという話もあります。
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