クセありすぎ! 「GTV」で味わう変態アルファ ロメオ中古車生活
選ぶなら今しかない緊迫した中古市場
だがこの問題児は、問題児であると同時に「人を魅了してやまない存在」でもある。
いささか異様な造形は、異様であるがゆえに心に深く突き刺さり、そしてV型6気筒DOHCエンジンは、エンジンオイルも燃料も激しく食うタイプの設計であるだけに、その官能性のようなものは、現代のエココンシャスな各種エンジンとは比較にもならない。
このV6エンジンの咆哮および回転フィールは、そのまま「生の悦び」を表している、あるいはそれに直結していると評しても、決して大げさではないはずだ。
まぁハンドリング性能にはさして見るべき部分はないのだが(悪くないが、とりたてて良くもないぐらいのレベルである)、このV型6気筒エンジンとエンリコ・フミアの筆による造形だけで、完全に「お釣り」がくるタイプのクルマなのだ。
●1996年 アルファ ロメオ「GTV」
で、そんなアルファ ロメオGTVは、数年前まではそれなりの数が流通していたものだが、昨今は──絶滅傾向というほどではないにしても──減少傾向で、2021年2月下旬現在の流通量は(カーセンサーnetによれば)全国でわずか19台。
そのうちの2台は「悪くはないが、V6に比べればやや凡庸である」といいたくなる2リッター直4エンジン搭載グレードで、「珠玉のV6」を搭載しているGTVはもはや17台ほどしか流通していないのだ。
しかもそのうち2台は、2リッターのV6ターボ搭載のかなり特殊な限定生産モデル「GTV V6ターボ アルファコルセ」なので、3リッターから3.2リッターのV6DOHCエンジンを搭載したアルファ ロメオGTVはわずか15台。そのなかでも「コンディションがいいやつ」となると、さらに数が少なくなるのは明白である。
少ないなかでも流通のメインとなるのは3リッターV6エンジンを搭載した中期GTVで、その中古車相場は80万から160万円といったところ。3.2リッターとなった後期型はきわめて数が少ないが、170万から200万円ほどでいちおう流通はしている。
パワーがあるのは当然ながら3.2リッターとなった後期型なのだが、中期3リッターと後期3.2リッターでは装着された触媒の数が違うため、「快感」「快音」という面では中期3リッターに実は軍配があがる。
だが今となってはそんな細かいことはどうでもいいだろう。3リッターであろうと3.2リッターであろうと、「コンディションと整備履歴が優秀な個体」と出会えたならば、そして貴殿がアルファ ロメオ製V6エンジンと鬼才フミアのセンスとを全身で味わいたいのであれば、本当に絶滅してしまう前に手に入れるべきなのだ。
もちろん、先に申し上げたとおりの「問題児」であることもまた間違いないため、誰彼かまわずおすすめしたいという話ではないのだが……。
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