結局、EVの航続距離ってどれくらい妥当? 充電インフラはすでに解決済みなのか
各社からさまざまな電気自動車が登場するなかで、ガソリン車/ディーゼル車で燃費を気にするように電気自動車で航続距離を気にするユーザーがいます。では、日本においてどれくらいの航続距離があれば妥当だといえるのでしょうか。
100km走ればなんとかなる? 充電施設の分布からみる「実航続距離」
現在、ガソリン車/ディーゼル車を検討する際に燃料1リットル当たりで走行する燃費を気にしますが、電気自動車では、1回の充電でどれだけの距離を走行できるかという航続距離が検討の目安となっています。
では、実際のユーザーにとって妥当な航続距離とは、どれくらいなのでしょうか。
2020年11月、日本政府が内燃機関のみを搭載するガソリン車/ディーゼル車の新車販売について2030年半ばを目処に禁止する方針を打ち出しています。
当面の間は、電動車といわれるハイブリッド車、プラグインハイブリッド車、電気自動車、燃料電池車が各メーカーから続々と登場すると見られています。
なかでも、世界中の主要メーカーは電気自動車へのシフトを加速させ、前述の航続距離においても競い合っている状況です。
しかし、電気自動車で大きな課題となっているのが充電インフラです。とくに日本では、ハイブリッド車が新車市場の主流となっていることもあり、充電インフラの普及が円滑に進んでいるとはいえません。
全国のガソリンスタンド数が約3万店舗といわれているのに対し、ガソリンスタンドと同等の立ち位置とされる急速充電器は、未だ7000箇所に留まっています。給電ペースに気を付けなければ、ガス欠ならぬ「電欠」を起こす可能性があります。
では、現在の日本で電気自動車を使用する場合、実際の航続距離はどのくらいなのでしょうか。また、都心部と地方部で地域差はあるのでしょうか。
すでに発売されている国産電気自動車のカタログ航続距離(WLTCモード)は日産「リーフ」は62kWh仕様が458km、40kWh仕様で322kmとなっています。
2020年10月に発売されたホンダ「Honda e」は283kmおよび259kmとグレードにより異なり、2021年1月に発売されたマツダ「MX-30 EV MODEL」は256kmです。
では、日本においてどれくらいの航続距離があれば妥当といえるのでしょうか。
全国の充電設備の情報を公開しているWebサイト「GoGoEV」を運営しているゴーゴーラボの担当者は次のように話します。
――航続距離や、地域差について教えてください。
前提として、電気自動車の使用用途により、求める航続距離は異なって来るものかと考えます。
日常の使い勝手が駅までの送り迎えや近所のお買い物等限定されるなら、航続距離が100km未満でも、何不自由なく利用できるものと思います。
なぜなら、自宅に充電設備がある場合においては、公共の充電器を使用することさえないものと考えられるからです。
自宅など車庫に充電設備がある場合において、街乗りで充電が必要なケースというのはなかなか考えにくく、都市部・地方問わず公共の充電を利用するのは、必要性からではなく、別の要因によるものが多いのではと考えます。
例えば、料金の定額制・無料設備・利用施設に設置されていたからなど、充電器があるから利用している場合が多いのではと考えられます。そうなれば、地域差は関係ないものと考えることもできます。
しかし、週末や長期休暇に遠出をする用途での利用でしたら、100kmの航続距離では『やや』心もとなくなるでしょう。
――では、長距離移動の場合、どのぐらいの航続距離をみれば良いのでしょうか。
今、主流の大容量バッテリー時代においては、倍の200kmあれば安心できる数字といえるでしょう。なぜなら、移動している時点で地域差はそこまで大きくないからです。
現在、国内の充電スタンドの分布から見ると、どんなに離れても100km以上離れている充電箇所はそうそうありませんので、航続距離が何kmあれば良いとは一概にいえなくとも、100km以上走れるなら、国内どこへでも行ける環境はあると思って頂ければ大丈夫です。
都市部から地方へ遊びに行くことを考えるなら、『どこへ行こうとも充電できる』ことの認知こそ、安心材料になるのではと考えます。