2020年の交通事故重傷者・死者数が激減なぜ? 新型コロナ禍影響か 警察庁が分析
警察庁は「令和2年における交通事故の発生状況等について」を2021年2月18日に発表しました。2020年の交通事故の重傷者数・死者数はともに2019年より減少していたといいますが、いったいどのような要因があったと警察庁は分析しているのでしょうか。
交通事故での重傷者は13.3%減、死者は11.7%減
警察庁は、2020年(令和2年)の交通事故の発生状況についてまとめた「令和2年における交通事故の発生状況等について」を2021年2月18日に発表しました。
2020年は交通事故の重傷者および死者数が2019年(令和元年)より減少していますが、いったいどのような要因があるのでしょうか。
2020年の交通事故死者数については、2021年1月4日に警察庁が「令和2年中の交通事故死者数について」ですでに2839人であったと発表。2019年より376人少なく(11.7%減)、4年連続で戦後最少を更新するとともに初めて3000人を下回りました。
また、前出の「令和2年における交通事故の発生状況等について」によると交通事故重傷者数は2万7774人となり、前年から4251人減少しています(13.3%減)。
交通事故重傷者数および死者数が減少した要因について、警察庁はどのように分析しているのでしょうか。
まず2020年の重傷者数について、警察庁は「令和2年における交通事故の発生状況等について」のなかで「重傷者数については、交通量の減少を背景に4・5月の重傷者数が
顕著に減少したこともあり、昨年の減少率と比較し大幅に減少」と特徴を記載しています。
資料に参考データとして記載されている2020年と2019年の月別交通量(各月第3週水曜日に都道府県警察の車両感知器がカウントした1台あたりの交通量)を見ると、12か月のうち11か月で2020年は2019年の交通量を下回っているなか、4月(2020年:8810台/2019年:1万235台)と5月(2020年:8557台/2019年:1万265台)はとくに大きく差が開いています。
その影響か、重傷者数の差も4月(2020年:1832人/2019年:2825人)と5月(2020年:2511人/2019年:1767人)は大きいです。
また2020年の死者数について、警察庁は「死者数については、高速道路における交通量の減少を背景に、5・6月の高速道路における死者数が顕著に減少したこともあり、減少率が昨年より2.7ポイント上昇」と、特徴を「令和2年における交通事故の発生状況等について」で記載しています。
高速道路における交通量について、日本高速道路保有・債務返済機構のデータを元に警察庁が作成したデータを見ると、2020年4月から6月までのNEXCO系交通量は2019年比で72.3%を記録。
そして高速道路での月別交通事故死者数の推移について見ると2020年4月から6月が24人であるのに対し、2019年4月から6月が43人と約1.8倍の差がついています。
こうしたデータからは、2020年4月7日から1か月半程度発出されていた緊急事態宣言を受けての外出自粛が影響していると考えられます。
ちなみに、「自動車乗車中」「二輪車乗車中」「自転車乗車中」「歩行中」の状態別死者数のなかでもっとも多かったのは歩行中で、35.3%を占めました。
警察庁は、国家公安委員会委員長のコメントとして「交通事故を防ぐために、自動車や自転車の運転者、歩行者がそれぞれ相手の立場に配慮し、思いやりの気持ちをもって行動するようお願いします。」(令和2年中の交通事故死者数についてより)と呼びかけているほか、2021年は「歩行者の安全確保に向けた交通安全教育や運転者に対する指導取締り」「自転車の遵法意識の向上に向けた交通安全教育・指導取締りの推進」「生活道路における安全確保」に取り組むとしています。
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