いまや5000万円!! 「BB」や「カウンタック」より高額な「ディノ246GT」とは?

歴代フェラーリのモデルのなかでも、異彩を放っているのが「ディノ」だ。本来的にはフェラーリのセカンドライン的な存在だった「ディノ」だが、昨今は「206/246」の市場価値が高騰している。どうして人気が高いのか、ディノの開発ストーリーを紹介する。

エンツォの息子の名がついた「ディノ」の価値は?

 206GTは、生産を開始した1968年から翌1969年までの間に、トータルで105台がラインオフされたに過ぎない。ボディをアルミニウム製としたことなど、206GTは想像以上に高コストなモデルだったのだ。

 この時すでにフェラーリのロードカーに関して親会社となっていたフィアットからは、低コストで大量生産することをフェラーリは求められていたのだ。

●1974 フェラーリ「ディノ246GTS」

1972年にマラネロの本社工場をラインオフし、オプションのエアコンとパワーウインドウも備わったアメリカ仕様の「ディノ246GTS」(C)2021 Courtesy of RM Sotheby's
1972年にマラネロの本社工場をラインオフし、オプションのエアコンとパワーウインドウも備わったアメリカ仕様の「ディノ246GTS」(C)2021 Courtesy of RM Sotheby's

 その結果206GTは、1969年に「246GT」にマイナーチェンジされる。走行中の扱いやすさを増すために、エンジンは2.4リッターに拡大されるとともに、ホイールベースを60mm、全高も20mm伸ばして居住性も向上されている。

 180psから195psにパワーアップされたエンジンは、確かにフレキシビリティに富み、ボディのスチール化によるハンデを解消する大きな効果もあったに違いない。

 ひとくちにディノ246GTといっても、実はこのなかにもいくつかの仕様が存在する。

 1969年から1974年までの「タイプL」、1971年に生産された「タイプM」、そして最終モデルとして1974年まで生産を続けた「タイプE」の3モデルだ。

 今回のRMサザビーズ、パリ・オークションに出品されるのはタイプEだ。このタイプEの途中から追加されたタルガトップを持つ「246GTS」のアメリカ仕様となる。

 アルジェントとブルーレザーインテリアの内外装色の組み合わせは、1972年にマラネロの本社工場で施されたものである。この個体には、オプションのエアコンとパワーウインドウも装着されている。

 参考までに新車当時の価格は、前後してデビューした「365GT/4(デイトナ)」が800万弱リラだったのに対して、ディノ206GTは500万弱リラと大きな差があった。

 RMサザビーズのパリ・オークションでのディノ246GTSのエスティメートは、40万から42万ユーロ(邦貨換算約5080−5330万円)。はたしてカスタマーはこの数字をどう判断するだろうか。

【画像】もはやアート! 「ディノ246GTS」を完全詳解(35枚)

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