歴史ある街で自動運転やCO2削減は可能?ボルボが作る次世代都市の狙いとは
日本ではトヨタが未来都市の「ウーブンシティ」実現に向けて動いていますが、北欧スウェーデンでは、ボルボが「イェーテボリ・グリーン・シティ・ゾーン」の実現を目指しています。それは一体どのような次世代都市なのでしょうか。
ボルボが目指す「イェーテボリ・グリーン・シティ・ゾーン」とは
日本ではトヨタが静岡県の富士山麓に、未来都市「ウーブンシティ」を2021年2月23日に着工しましたが、ボルボの場合、16世紀に築かれた北欧スウェーデンのイェーテボリ市に、大規模な改築工事なしに高度な交通システムを導入したリアルな次世代都市を実現するというのです。
ボルボが目指す次世代都市とは、一体どのようなものなのでしょうか。
イェーテボリは、スカンジナビア半島の南西部にある人口約52万人の港町です。北側にはノルウェー国境、また南側のデンマークにも近く、ヨーロッパでは人気の観光地でもあります。
筆者(桃田健史)はイェーテボリを何度か訪問していますが、市街を歩いてみると、路面電車と路線バスの多さが目立ちます。しかも、走行路線の一部を共有するなど、公共交通が効率的に運用されているのがよく分かります。
ボルボ本社はイェーテボリ市街中心部から約15kmの距離にあり、近隣にはボルボの従業員が多く居住。イェーテボリはボルボの城下町という存在でもあります。
これまでも、ボルボは自社の自動運転技術実証「Drive me」構想で、イェーテボリ市内に高度な運転支援システムを搭載した「XC60」などを走行させたり、またスウェーデン政府による産学官連携でのMaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)関連の実証などをおこなってきました。
そうしたなか、2021年1月12日の発表では、イェーテボリで2030年までに「クライメートニュートラル」を目指すとしています。
日本では、菅政権が掲げる「カーボンニュートラル」があります。製造業や運輸業など人が作り出すCO2と自然界で吸収されるCO2を相殺するという考え方です。
これに対して、クライメートニュートラルとは、CO2以外のフロンガスなどの温室効果ガスを含めた環境対策であるため、カーボンニュートラルより実現のハードルが上がります。
こうした厳しい条件をクリアするため、「イェーテボリ・グリーン・シティ・ゾーン」という方針を掲げて、イェーテボリ市はボルボなどと協力してクルマの電動化や移動手段のシェアリング、また自動運転のロボットタクシーなど、次世代技術を総動員するといいます。
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