BMW新型「M4」とポルシェ「911」を徹底比較! M4は911を超えられるのか?

「M3」の時代から、常になにかと比較されていたポルシェ「911」。新型「M4」と現行「911カレラ」のどちらを購入するのが正解なのだろうか。

M乗りが気になる911という大きな存在

 2020年9月、BMW新型「M4クーペ」がドイツ本国で発表された。大型のキドニーグリルを持つボディデザインは、正直いって賛否両論巻き起こっている。しかしそこにとらわれていては、このクルマの本質が見えてこない。

 なぜなら新型M4は、ただボディデザインを変えただけではなく、新設計エンジンの搭載やボディ剛性アップなどが施されたことで、走りの性能が大幅に向上しているからだ。

 明らかに走りを研ぎ澄ましてきた新型M4クーペは、運転することを純粋に楽しみたい人にとって、注目すべきクルマといっていい。

 日本でのデリバリーは、2021年秋の予定となっており、現在プレオーダーが始まっている。注目の価格は、1298万円。上位モデルとして、よりハイパワーな「M4クーペコンペティション」や、サーキット走行に対応する「M4クーペコンペティション トラックパッケージ」というモデルも同時にデリバリーされるが、これらはより趣味性が高い仕様となっている。M4クーペというクルマの実力を判断するには、ベースモデルを見るべきだろう。

巨大なキドニーグリルで賛否両論の「M4」だが、常にライバル視していた「911」より魅力的になったのだろうか
巨大なキドニーグリルで賛否両論の「M4」だが、常にライバル視していた「911」より魅力的になったのだろうか

 そこで、車両価格が近く、同じように走ること自体を楽しめるモデルと、比較をしてみたいと思う。選んだのは、ポルシェ「911カレラ」だ。

 といっても、M4クーペに試乗できていない状態では、実際の操作フィーリングや、インフォメーションの伝わり方、サウンドなどを比べることはできない。そのため、あくまで公表されているスペック上での比較をしてみたいと思う。

 まず車両本体価格だが、M4クーペの1298万円に対し、911カレラは1398万円と、911カレラのほうが100万円高価となる。

 M4クーペ コンペティションの車両本体価格が1348万円、M4クーペ コンペティション・トラックパッケージは1460万円なので、素の911カレラを購入するくらいだったら、ハイパフォーマンスなM4もチョイスできるわけだ。エンジンパワーもM4クーペは480psなのに対し、M4クーペ コンペティションは510psだ。ここはひとつの悩みどころだろう。

 次にトランスミッションを見てみよう。M4クーペは6速MTのみとなっているため、2ペダル限定免許所持者は運転ができない。それに対して911カレラは8速AT(PDK)のみなので、限定免許でも問題ない。そのかわり、現状ではMT仕様はラインナップされていない。M4クーペコンペティションは8速AT(Mステップトロニック)を搭載しているので、現実的な911カレラとの競合は、M4クーペ コンペティションということになるだろう。

 ただし、M4クーペは、左右どちらのハンドルポジションを選べるのに対し、911カレラは右ハンドルのみとなる。

 次にボディサイズを比べてみよう。M4クーペは全長が4805mmで、ホイールベースは2855mmと、スポーツカーとしては長めだ。トレッドはフロントが1615mm、リアは1605mmとなっている。

 それに対して911カレラは、全長が4519mmで、ホイールベースも2450mmという数値。トレッドはフロントが1591mm、リアは1557mmだ。

 この911カレラのホイールベースは、現代のスポーツカーとしてはかなり短いものといっていい。例としてあげると、「スイフトスポーツ」(ZC33S型)のホイールベースも2450mmである。ただし、スイフトスポーツのトレッドは、フロントが1510mm、リアは1515mm。コーナリングの鋭さは、ホイールベースの長さとトレッド幅の関係性も大きく影響するのだが、その点からいえば、911カレラはコーナーでしっかり踏ん張って回頭するというイメージだ。

 逆に、室内空間の広さという観点からいうと、ホイールベースの短さは、不利な点といえる。M4クーペと911カレラは、どちらも4シーターなのだが、リアシートの居住性は間違いなくM4クーペのほうがいい。

 911カレラのリアシートは、足の置き場が非常に狭く、まさしく1マイルシートといっていい狭さだ。それに対してM4クーペは、2ドアなので乗降性はあまり良くなく、ルーフも低いため快適とまではいえないだろうが、911カレラほどの狭さはない。

 トランク容量もM4クーペは440リッターとしっかり取られているのに対し、911カレラはフロントフード内の、ごく狭いスペースのみとなってしまう。リアシートを荷室として使っている人がほとんどだろう。

【画像】「M4」と「911」を写真で見比べる(26枚)

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