マツダ初量産EV「MX-30」発売! 電動化進む中、主力商品のディーゼルは今後どうなるのか
マツダ、世界戦略の柱となるディーゼルエンジン「SKYACTIV D」はどうなる?
では、MX-30に現状でも、また2022年での搭載予定がない、ディーゼルエンジンについて、マツダはどう取り組むのでしょうか。
マツダ電動化戦略やガソリン・ディーゼルエンジンの研究開発の普及戦略については、マツダが2017年に公表したZoom-Zoom宣言2030を基盤としています。
そのうえで今回、同社の執行役員・R&D管理・商品戦略・技術研究所担当の工藤秀俊氏は、「2050年カーボンニュートラル化への挑戦」を掲げ、マツダとしての現実的に可能な対応策について説明しました。
ZoomZoom宣言2030とは、マツダが2007年から本格的に取り組んでいる、化石燃料の採掘からクルマでの走行までを考えたCO2削減「Well to Wheel(ウェル・トゥ・ホイール)と、車両の素材の製造、車両製造、輸送、整備、廃棄・リサイクルまでのクルマの一生を考える、LCA(ライフ・サイクル・アセスメント)を最大考慮して、地球温暖化の抑制と大気汚染のないきれいな空気を実現するという考え方です。
そうした基本戦略のうえで、世界各地の国や地域での電力事情である、石炭火力、石油火力、LNG火力、水力、原子力、再生可能エネルギーなどの組合せである「エネルギーミックス」を考慮したうえで、その国や地域にマッチするパワートレインを導入するというものです。
そのエネルギーミックスの実情を、マツダが示したグラフで見ると、スウェーデン、ノルウェー、フィンランドなど北欧やフランスなどで、化石燃料に由来する火力発電の比率が1割以下から3割以下と低く、一方で日本、アメリカ、中国などは7割から8割とかなり高くなっていることが分かります。
そのうえで、EVやPHEV(プラグインハイブリッド車)を積極的に導入するのは、再生可能エネルギー由来の発電が多い欧州が主体となります。
一方で、日本など化石燃料での発電が当面多いとされる地域では、現状のSKYACTIV G、D、Xで内燃機関としての技術革新を進めると同時に、電動化を追加します。
そのなかで、ディーゼルにもe SKYACTIV-D(ディーゼルエンジンの電動化の仮名)を検討せざるを得ないはずですが、価格が上がるなど課題もあるのでしょう。
筆者(桃田健史)の質問に対して前述の工藤氏はe-SKYACTIV-Dという名称については触れませんでした。
さらに興味深いのは、日本など化石燃料由来の発電地域では、再生可能液体燃料として、微細藻類由来のバイオ燃料であるe-Fuelなどの普及を進めています。
すでに、ひろしま自動車産学官連携会議などによる具体的な動きがあります。
また、筆者が「これから、マツダはディーゼルをどうするのか?」という質問に対して、工藤氏は次のように説明しています。
「まだまだディーゼルは、高効率のCO2削減のポテンシャルがあると考えています。
欧州の各種学会でも、ディーゼル(のさらなる技術進化)関連の研究成果発表も多くあり、ドイツ3社(ダイムラー・BMW・VWグループ)もディーゼル研究開発に継続して投資することを表明しています。
カーボンニュートラルに向けて、再生可能燃料を活用するディーゼルの改善や技術開発は継続します。
(マツダディーゼルの)ユーザーの方々には、ディーゼルは将来も残り得るパワートレインであることを分かって頂きたい」
※ ※ ※
このように、ディーゼルエンジンの現状を示すと共に、SKYACTIV-Dの継続と今後の進化に対する期待を込めました。
Writer: 桃田健史
ジャーナリスト。量産車の研究開発、自動車競技など、自動車産業界にこれまで約40年間かかわる。
IT、環境分野を含めて、世界各地で定常的に取材を続ける。
経済メディア、自動車系メディアでの各種連載、テレビやネットでの社会情勢についての解説、自動車レース番組の解説など。
発表内容を見るに最近のMazdaらしい
随分とクソ真面目で石橋を叩いて渡るような慎重なバッテリー搭載構造の作りと販売プランですね、
環境問題に対する真面目な姿勢をアピールするのは御時世ですから分かるけど、
なんとなくわくわくするような面白味が足りない気もする…
しかしながら、
Mazdaが発表で示したLCA(ライフ・サイクル・アセスメント)のグラフを信じるなら、
CO2排出量は最エネ率高い欧州での充電使用でもMazda3ディーゼルと大差無く
バッテリー交換の目安が16万Kmで交換直後は一旦排出量上回るなんて事は、
大容量バッテリー積む他社の高級BEVなんてものを日本で走らせる事は、
むしろMazdaスカイアクティブDよりもLCAでみればCO2削減どころか悪化させてるんだって
暗に皮肉ってますよね。