なぜ車好きから熱視線!? パワーはないけど「軽トラック」が楽しいといわれるワケ

使いきれるパワーとFRレイアウトが楽しさの秘訣?

 軽トラに搭載される660ccの自然吸気エンジンは、最高出力50馬力程度とお世辞にもパワフルとはいえません。

 さらに、最大350kgという積載量を持つため、ギア比もローギヤ―ドとなっており、ハイゼットトラックの5速MT車では、5速100km/hでおよそ5000回転となっています。

農作業で活躍する軽トラ
農作業で活躍する軽トラ

 それだけに、周囲の交通の流れに乗るためにはエンジンを高回転まで回してシフトアップを繰り返す必要があり、法定速度内で走っているにもかかわらず、全開走行をしているかのような感覚が味わえるというワケなのです。

 当然ながら最近の普通車であれば、こんな回転数までエンジンを引っ張って走行すればあっという間にスピード超過になるだけでなく、命の危険が伴う速度になってしまいます。

 しかし軽トラでは、これでなんとか周囲の流れをややリードできるレベルなので、非常に安全に“走らせている感”が楽しめるのです。

 さらに、現在新車で販売されている軽トラはすべて後輪駆動、もしくは後輪駆動をベースとした4WDとなっており、フロントタイヤが舵を担当し、リアタイヤが路面を蹴り出すというクルマの基本レイアウトを踏襲しています。

 パワーも速度も限界域も高くはありませんが、この古典的かつ基本的な後輪駆動レイアウトを採用していることでクルマとの一体感が生まれ、なんともいえない楽しさに繋がっているといえるでしょう。

 また、電子制御の塊となってしまった最近のクルマのなかでは珍しく、トラクションコントロールや横滑り防止機能がオプションとなっているものも存在しており、まるで旧車のようなアナログ感も楽しめます。

 つまり、軽トラとは現行車でありながら古き良き旧車の感覚を楽しめることができる稀有な存在であり、その部分がクルマ好きの琴線に触れることで、多くの人が”楽しい“と感じるのではないでしょうか。

 実際、軽トラに魅了された猛者たちが集うワンメイクレースも開催され、専用パーツも多数リリースされているという状況が、それを裏付けているといえるかもしれません。

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Writer: 小鮒康一

1979年5月22日生まれ、群馬県出身。某大手自動車関連企業を退社後になりゆきでフリーランスライターに転向という異色の経歴の持ち主。中古車販売店に勤務していた経験も活かし、国産旧車を中心にマニアックな視点での記事を得意とする。現行車へのチェックも欠かさず活動中。

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