元ロッド・スチュワートのフェラーリに注目! 「550マラネロ」は掘り出し物件か?
V12フェラーリが、FRへと原点回帰したモデル「550マラネロ」。車名のマラネロとは、フェラーリ本社のある都市の名前だ。この550マラネロのクーペとバルケッタでは、オークション・マーケットでどれほどの差があるのか、また元ロッド・スチュワートの愛車というバリューがどれほどなのか、注目の2台を紹介しよう。
FRへと原点回帰した「550マラネロ」
1996年にフェラーリ「F512M」の生産が終了した時、それは「BB」、「テスタロッサ」の両世代にわたった、V型12気筒エンジンのミッドシップという、スポーツカーとしては革新的、かつ理想的ともいえる基本設計が終わりを告げた瞬間でもあった。
フェラーリがミッドシップ世代で搭載していたV型12気筒エンジンは、バンク角が180度というもので、ギアボックスと上下二段構造を採る関係から、重心高を低く抑えるためにはデメリットのある設計だった。そこでフェラーリは、F512Mの後継車を開発するにあたり、再びFRという伝統のスタイルへと回帰したのだった。
●2000 フェラーリ「550マラネロ」
そのニューモデルの名は「550マラネロ」とされた。車名の550という数字の由来は、搭載されるV型12気筒エンジンの総排気量、5474ccを示す「55」と、1997年のフェラーリの創立50周年を意味する「50」を組み合わせて「550」としたと説明された。
最大の注目は、もちろんミッドシップからFRへの基本設計の回帰であった。運動性能に関しては550マラネロでは一切の妥協はしていないと、この時フェラーリは強くアピールしてみせた。
ピニンファリーナによるエクステリア・デザインは、フロントエンジンを象徴するかのように、ロングノーズとショートデッキ、そしてカムテールが特徴となっている。
フロントフェンダーに設けられたエアアウトレットやグラマラスなリアフェンダーなど、過去のFRフェラーリを彷彿させるデザインは550マラネロにいくつも存在し、それと同時にCd値で0.33という高水準な空力特性を実現しているのだから、さすがはピニンファリーナの作である。
フロントに搭載されるエンジンは最高出力485psを発揮。このエンジンは「456GT」に使用されていたものが基本となるが、徹底した改良を経て、43psものパワーアップを果たしている。
6速MTのトランスミッションはデファレンシャルと一体化されリアに配置される、いわゆるトランスアクスル方式を採用した。これは前後の重量配分を最適化するための策で、フェラーリは1964年の「275GTB」でこの方式を初採用している。
基本骨格はスチールと高張力鋼板を組み合わせたもの。捻じれ剛性はさすがにカーボンモノコックの「F50」には及ばなかったが、当時の量産モデルでは最強レベルとなる1500kg/度を得ていた。サスペンションは前後ともダブルウイッシュボーンで、ドライバーはキャビンのスイッチで、ダンパーの減衰力を2段階から選択できるようになっている。
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