事故続発「ホワイトアウト」に遭遇したらどう対処? 雪の視界不良の危険性とは
ホワイトアウトに遭遇したらドライバーはどうすればよいのか?
では、通行止めにならない状況でホワイトアウトに遭遇したら、ドライバーはどうすればよいのでしょうか。ここからは、過去にホワイトアウトでの走行経験がある筆者(桃田健史)の私見です。
まずは、減速するべきですが、減速し過ぎては後方からの衝突の可能性が増します。
理想的には、制限速度を厳守しながら走行するべきですが、ドライバーの運転経験の差やその日の体調などによって、制限速度を維持することすら困難な状況になることも予想され、結果的にはドライバーひとりひとりが臨機応変な対応をするしかありません。
そのうえで、近くのパーキングエリアやサービスエリアに退避することが求められると思います。
また、渋滞発生時の最後尾車がおこなうようにハザードランプ(非常点滅表示灯)をつけて走行することもあり得ますが、道路交通法上でハザードランプは道路上や路肩で緊急に停車または停止している時に使用することが基本になっており、ホワイトアウト時は停車車両と走行車両との見分けがつかず、不慣れなドライバーは急ブレーキを踏み衝突事故の危険性を生む可能性も考えられます。
ホワイトアウト時の走行中のハザードライト使用については今後、警察と道路管理者がさらに議論を深め、明確な指針を広く広報する必要があると考えます。
別の視点では、自動速度制御装置(ISA)の導入が考えられます。
近年発売されている新車は、車載カメラやGPSの位置情報から制限速度を認識し、ダッシュボードに制限速度を表示できるモデルが増えています。
ISAはこうした速度の認識機能を使って、速度超過に対して音声などによるドライバーへの警告、さらには強制的な速度制限を自動でかける装置です。2022年から欧州では、音声による警告を第一弾として導入が義務化されます。
日本でも、国土交通省が先進安全自動車推進検討会として、ISA導入に向けた基本設計書を公開しています。そのなかで2016年の軽井沢スキーバス事故や、2019年の池袋での高齢ドライバーによる暴走事故など、社会実情におけるISAの必要性を記載しています。
ホワイトアウトなど雪道での走行についても、事故発生のひとつの要因として、一部のドライバーは速度規制がかかっても、通常の制限速度、またはそれ以上の速度で走行している実情があり、ISA導入の必要性を感じます。
今後、さまざまな観点からホワイトアウトでの事故対策を講じるべきだと考えます。
Writer: 桃田健史
ジャーナリスト。量産車の研究開発、自動車競技など、自動車産業界にこれまで約40年間かかわる。
IT、環境分野を含めて、世界各地で定常的に取材を続ける。
経済メディア、自動車系メディアでの各種連載、テレビやネットでの社会情勢についての解説、自動車レース番組の解説など。
近著に「クルマをディーラーで買わなくなる日」(洋泉社)。
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