なぜ14年経っても新型出ない? 三菱「デリカD:5」が高級ミニバンより売れ続ける理由とは
デリカD:5は資産価値が高い!?
2019年のマイナーチェンジで大きな進化を遂げたデリカD:5ですが、このタイミングで、従来型から改良後の現行型に乗り替えるユーザーが増加。登録台数も一層伸びました。
デリカD:5の新車価格は、大半のグレードが400万円を超えます。
新車価格が高額なので中古車にも注目が集まり、その結果、中古車価格が高まってユーザーが売却するときの金額を押し上げました。デリカD:5は資産価値も高いのです。
残価設定ローンの残価率(新車価格に占める残価の割合)も高く、3年後で新車時の55%に達します。
ほかのミニバンの残価率は43%から48%なので、デリカD:5は高値で売却できることを示しています。
そしてデリカD:5に独特の魅力があり、高値で売却できると、デリカD:5を何台も乗り継ぐユーザーも増えます。
デリカD:5はクリーンディーゼルターボを搭載するので、購入時に納める環境性能割(旧自動車取得税)や自動車重量税が非課税です。2020年度の実績では、申請すれば経済産業省による1万5000円の補助金も交付されます。
自動車税、自動車重量税が軽減される優遇措置(通称:エコカー減税)については、これまでの一律100%減税から除外され一部車種の対象となりますが、これまで税金関連の出費を抑えられたことは、フルモデルチェンジをしないデリカD:5が安定的に売れ続ける理由だといえます
その一方で選ぶときの注意点もあります。最低地上高に余裕を持たせたこともあり床が高く設定されており、低床設計のステップワゴンなどと比べると、乗り降りがしにくいです。
また、3列目シートの跳ね上げにも力を要します。
ボディはミドルサイズに収まりますが、最小回転半径は5.6mと少し大回り。視線の位置が高いので遠方の様子はわかりやすいですが、死角は大きめです。
死角を補うために、マルチアラウンドモニター(標準装着か6万500円でオプション設定)が欲しいです。購入時には、車庫入れや縦列駐車も試したほうがよいでしょう。
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いまはSUVが人気のカテゴリーになりましたが、SUV感覚のミニバンは意外に少ないです。その意味でデリカD:5は貴重な選択肢だといえます。
独自の価値を築いた商品は、長く愛用されるわけです。デリカD:5の根強い人気は、クルマに限らず商品開発のヒントになると思います。
Writer: 渡辺陽一郎
1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、2001年にフリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を得意とする。
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