2000万円オーバー確実!? 元祖スーパーSUVランボ「LM002」とは

「BBCトップギア」に出た「LM002」とは

 2020年10月末に開催されたRMサザビーズ社「LONDON」オークションのランボルギーニLM002は、ボディ/インテリアのカラーまで「OPEN ROADS, FALL」オークション出品車と同じなので少々まぎらわしいのだが、こちらはちょっとだけ新しい1990年型である。

 ボンネットに設けられた大きな「こぶ」が示すように、当時のデフォルトたるキャブレター仕様車である。

●1990 ランボルギーニ「LM002」

ランボルギーニ本社に残されていた最後の1台といわれる純正ウィンチが取り付けられた「LM002」(C)2020 Courtesy of RM Sotheby's
ランボルギーニ本社に残されていた最後の1台といわれる純正ウィンチが取り付けられた「LM002」(C)2020 Courtesy of RM Sotheby's

 ランボルギーニ本社直営のクラシック部門「ランボルギーニ・ポロストリコ」の資料によると、もともとスイスのローザンヌに新車としてデリバリーされた1台とのこと。しばらくののちサンタアガタ・ボロネーゼのランボルギーニ本社工場に戻されてサービスを施されたとの記録も残っている。

 1997年に、ウイスキーリキュールの名門「ドランブイ(DRAMBUIE)」社のコレクションに収蔵されるべくスコットランドに移送されたのだが、5年後の2002年にドランブイ社が資産を売却した際に、スコットランドのフェラーリディーラー「グレン・バラギル」社を介してチェシャーのランボルギーニ愛好家に売却された。

 2003年9月、当時のオーナーは英国内でおこなわれたランボルギーニのイベントに持ち込んだ際に、ヴァレンティノ・バルボーニによる「レジストロ・ランボルギーニ」の技術委員会に代わってテクニカルチェックを受けた。この時のチェックで、バルボーニは「エッチェレンテ(Eccellente=エクセレント)」と評したという。

 また1か月後の2003年10月には、英国の超人気TV番組「BBCトップギア」のランボルギーニ・スペシャルにも出演。この時代の「スティグ」として知られているレーシングドライバー、ベン・コリンズ選手によって、サーキットのタイムトライアルにも供されている。

 そして「BBCトップギア」で酷使された直後、ロンドンのランボルギーニ社指定サービスエージェント「HRオーウェン」社ファクトリーに持ち込まれ、完全なチェックとマイナーサービス、そして小規模の修理が施されたとのことである。

 2008年の後半には再びHRオーウェン社に戻され、より徹底的なサービスに加えて、新しいスプリングとショックアブソーバーへの交換を含めたサスペンションのオーバーホールや、そのほかの修復作業に供された上に、ランボルギーニ本社に残されていた最後の1台といわれる純正ウィンチも取り付けられている。

 さらに2019年には、完全なリペイントと内装のディテール修正、エンジンおよび補器類のオーバーホール、燃料タンクとブレーキのオーバーホールが施された。

 新車時以来のオリジナルを保ったインテリアと美しい外観を持つ、最上級のLM002をレストアするためにおこなわれたこの一連の作業には5万ポンド以上のコストが投入され、作業時の詳細な写真ファイルも添付されるという。

 このLM002について、RMサザビーズ社は21万−26万ポンド、日本円に換算して約2940万円−約3640万円というエスティメート(推定落札価格)を設定。これは、前述の個体と比べるとかなり強気な価格であり、新形コロナ禍以降のマーケット相場から見ればLM002のハイエンドともいえる。

 数奇なヒストリーまで含めて英国内ではもっとも有名なLM002であり、しかもコンディションも極上であることを意識しての価格差と見て間違いあるまい。

 残念ながら、こちらもオンライン競売での落札には至らなかったが、終了からしばらくののちに「Sold After Auction」とWEBカタログに表示。つまり、営業部門による個別販売が成立したことになる。

 おそらく一定のディスカウントはあったものと思われるが、やはりこれほどのLM002には、然るべき顧客がつくということなのだろう。

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