相次ぐ廃止も!? なぜセダンは人気低迷?「セダンを選ぶ理由が…」若者の本音とは
いまの若者はセダンに乗らずに育った!? セダンのイメージとは
セダンというジャンルは若い世代にはあまり響いていないようですが、10代や20代の若年層はどのようにセダンを見ているのでしょうか。
実際に聞いてみたところ、もっとも多かったのは「積極的にセダンを選ぶ理由がない」という意見です。
スポーティさを求めるならハッチバックやクーペ、趣味を重視するならSUVやワゴン、多人数で乗る機会が多いならミニバンを選択するという「理由」がありますが、セダンはその動機づけが弱いといいます。

免許を取得して間もないKさん(19歳・女性)は「セダンはトランクの先が見えなくてバックでの駐車が難しい」との理由で、マイカーを購入するなら後方の長さが掴みやすいハッチバックタイプのコンパクトカーがいいといいます。
また、「地味」や「若者が乗って似合うデザインのクルマがない」といったスタイリングに対する否定的な意見も見受けられました。
たしかに、いま新車で販売されているセダンは堅実なスタイルのモデルが多く、若者に向けたスポーティなデザインに振ると、実際の購買層である中高年が離れてしまいかねません。この辺はメーカーとしても頭を痛めているところではないでしょうか。
ネガティブなコメントもある一方で、セダンを支持する声も少なくありません。
「人と荷物が別の空間というのがいいです。外から荷物も見えませんし」とTさん(26歳・男性)はいいます。
ワゴンやハッチバックでもトノカバーでラゲッジルームを隔てることは可能ですが、音や匂いまではなかなかシャットアウトできません。防犯という面でも完全に内部が見えないセダンのトランクのほうが安心といえるでしょう。
「メルセデス・ベンツやBMWみたいに、高級車はやはりセダンがビシっとしていいです」という意見はクルマ好きの若者にも多く、セダンはクルマの基本形との認識はいまも変わらずあるようです。
昔のように「冠婚葬祭に乗り付けるならセダンに限る」みたいな固定観念はさすがになくなりましたが、「将来的にはセダンに乗りたい」という考え、つまり年齢を重ねた大人が似合うフォーマルなクルマというイメージは根強く残っています。
ただ、いいかえるなら、セダンは「若いいまのうちに乗るクルマ」ではないということで、多くの若者が求めている将来のセダンはメルセデス・ベンツBMWなどの高級輸入車なようです。
※ ※ ※
若い人たちから話を聞いてもっとも驚かされたのは、自身が子供のころに両親が乗っていたクルマがセダンではなかった人が多かったことです。
たとえば、いま25歳の人が物心ついたころを5歳と仮定すると、記憶があるのは2000年以降になります。
当時はホンダ「ストリーム」やトヨタ「エスティマ」などのミニバンが販売台数ランキングの上位を独占し、1990年代のクロカン四駆ブームの名残も。
そうした背景もあり、家のクルマはカローラでも「カローラスパシオ」だったり、三菱「パジェロ」だったりと、なれ親しんでいたのはセダン以外のクルマだったという回答が数多くありました。
そもそもセダンで育っていないのだから、自身のクルマ選びでもセダンという選択肢が出てこないのは、ある意味当然のことなのかもしれません。
Writer: くるまのニュースライター 金田ケイスケ
2000年代から新車専門誌・輸入車専門誌編集部を経て独立。専門誌のみならずファッション誌や一般誌、WEB媒体にも寄稿。
中古車専門誌時代の人脈から、車両ごとの人気動向やメンテナンス情報まで幅広く網羅。また現在ではクルマに限らずバイクやエンタメまで幅広いジャンルで活躍中。
































