4180万円もの値がついた隠れた名車フィアット「131アバルトラリー」って、なんなん?

4180万円もの値がついた「131アバルトラリー」とは

 新たなWRCカーのベースとして選択されたのは、当時フィアットの主力モデルにもなりつつあった「131」だった。それをベースに、グループ4の車両規定を満たすモデルを設計、製作することがアバルトの手に委ねられたのである。

●1980 フィアット「131アバルトラリー」

アバルトのクラッシック部門でレストア、ならびに認定を受けているほか、以前からのFIAのドキュメントもすべて揃った状態の1台(C)2020 Courtesy of RM Sotheby's
アバルトのクラッシック部門でレストア、ならびに認定を受けているほか、以前からのFIAのドキュメントもすべて揃った状態の1台(C)2020 Courtesy of RM Sotheby's

 フィアットはまず、グループ4の公認に必要な生産台数400台を満たすためにオンロードモデルを製作。そこからアバルトの手に渡ったモデルが、WRCカーとして変貌を遂げることとなった。

 基本的なボディシルエットこそ、市場で人気を博すフィアット131だが、独特な迫力を感じるのは大きく張り出した前後のオーバーフェンダーによるものであろう。ルーフスポイラーやダックテール型のリアスポイラーもまた、フィアット「131アバルトラリー」とネーミングされたベースモデルの特徴的なパートだ。リアピラー上には、アバルトのエンブレムも備わっている。

 搭載されるエンジンは、フィアット132用の2リッター直列4気筒DOHCをベースに4バルブ化したもので、最高出力は、当時の発表値ではラリー仕様で215psであった。最終的にはインジェクション化などのアップデートにより、230psにまでアップされた

 サスペンションにも、アバルト独自の手が多く入っている。とくにリアサスペンションは、セミトレーリングアームとコントロールロッド、スタビライザーによる組み合わせとなった。

 ボディは、軽量化のためにFRPがボンネットやフェンダーなどに使用され、車重は1000kgを切る数字だった。

 今回RMサザビーズのロンドン・オークションに出品されたフィアット131アバルトラリーは、1980年式のワークスマシンそのものだ。

 同年のサンレモ・ラリーでは、ヴァルター・ロールのドライブにより優勝を果たしたほか、この年のチャンピオンシップを獲得するために貢献したモデルである。

 同車はアバルトのクラッシック部門、アバルト・セルティフィカツィオーネでレストア、ならびに認定を受けているほか、以前からのFIAのドキュメントもすべて揃った状態の1台である。

 オークションでの最終的な落札価格は、29万7000ポンド(邦貨価格約4180万円)。やはりきちんとした履歴と、魅力的なリザルトがあるコンペティションマシンは、それなりに高い評価が得られるようだ。それはまさに歴史を物語る象徴的な1台なのである。

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