ボルボ「XC60」電動AWDの魅力とは? 400馬力超のPHEVを雪上で試す!
電動AWDは充電がなくなると駆動はどうなる?
標高が上がるにつれて雪景色へと変わります。酸ヶ湯までの道は狭い上にタイトなコーナーが続きます。
そんな状況でも、XC60の見切りのいいボディと視界の良さ、穏やかな特性ながらも正確性の高いハンドリングから、すれ違い以外ではボディサイズを感じさせません。
とはいっても、車両重量は2トン越えなので無理は禁物ですが、重いバッテリーをクルマの中心かつ低い所にレイアウトしていることも相まって、コーナリング時の姿勢は通常のガソリン車よりも安定しています。
途中でEV走行可能距離がゼロになりエンジン主体の走行になります。ちなみに初期モデルとは異なり、主要構成部品がほぼ全面刷新された「ジェネレーション3」へと進化しました。
パフォーマンスは変更ありませんが、個人的に気になっていた安っぽさを感じていた回転フィーリングやサウンドが改善されており、プレミアムブランドらしいパワートレインの質感になっていました。
電動AWDは各センサーの情報を分析しながら後輪に適切な駆動を与えていますが、Hybridモードでは前後のパワートレインの応答性の差なのか、一瞬FRのような挙動を見せます。
これを楽しいと見るかドキっとするかは人それぞれでしょう。安定性を求めるなら常時四輪駆動となる「Constant AWDモード」がいいと思います。
電動AWDは「充電がなくなるとフロント駆動になってしまう」と心配する人もいるようですが、EV走行可能距離がゼロになってもリアの駆動に使うモーターの電気は確保されているので心配はいりません。
そして、何事もなく酸ヶ湯温泉に到着。総ヒバ造りの大浴場「ヒバ千人風呂」が有名です、しかし今回は時間の都合で入湯できず、ここから八戸駅を目指します。
下り坂はBレンジで回生しながらの走行ですが、回生協調ブレーキはストロークが短いうえに硬めのフィーリングなので、雪道での細かいブレーキコントロールは慣れが必要かもしれません。
八甲田山を下った後、みちのく有料道路~東北縦貫自動車道を走ります。高速道路では全車速追従機能付ACC+車線維持支援機能(パイロットアシスト)を試しました。
他社にも同様のシステムはありますが、制御と人の感覚のズレが最小限なのもボルボの特徴のひとつだと思います。
それが高いレベルで実現しているのはボルボとスバル、そしてメルセデス・ベンツの一部のみです。
撮影のためにポートアイランドに立ち寄ってから八戸駅に到着。わずか半日のドライブだったので酸ヶ湯温泉に入らなくても疲れはまったくありません。
道中で何度も「このまま、東京まで帰っちゃおうか?」と考えたくらい、楽に運転できたのもXC60のおかげでしょう。
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個人的にはEV走行距離がもう少し長いほうが(60kmから70kmは欲しい)が嬉しいですが、電動化という部分だけでなくクルマとしてのバランスに優れた一台だと感じました。
なかには「電動化=つまらない」と思っている人もいるようですが、ボルボはむしろ電動化によって魅力が増したと思っています。
Writer: 山本シンヤ
自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車メディアの世界に転職。2013年に独立し、「造り手」と「使い手」の両方の想いを伝えるために「自動車研究家」を名乗って活動中。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
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