未来のクルマはまるで電車!? 遠隔操作で走る自動運転車の可能性とは
乗用車でも遠隔操作は実現可能なのか?
今回の自動運転技術については、名古屋大学が担当し、遠隔運転システムはソリトンシステムズが開発しました。
通信は4G(LTE)を使っていますが、ソリトンシステムズの関係者によると「(データ通信の)遅延は実際の走行に大きな影響を及ぼすほどではない」とのことです。
今後は5G(第5世代通信)の導入により、遅延時間はさらに短縮されるといいます。
なお、同社では、建設機械の自動運転・遠隔システム実証をおこなうなどの実績があります。
自動運転の遠隔運転については、建設機械のほか、農業機械や今回の実証試験のような公共交通機関での需要が見込まれます。
ただし、こうした事業者の数は限定的であり、システム開発事業者としては、先行者利益を追求することが重要でしょう。
この場合でも、キーポイントはコスト削減です。今回の伊豆高原実証では、実質的に3人が1台を常時監視する必要がありました。
東急によると、「実用化に向けてはコスト削減が必須で、将来的にはひとりのオペレーターが複数台の自動運転車を運航管理する効率的なシステムを実用化させたい」といいます。
その一環として今回、伊豆高原駅から約40km離れた下田市内での自動運転についても、伊豆高原駅のコントロールセンターから遠隔操作を実施しています。
では、乗用車においても自動運転での遠隔操作は実現するでしょうか。
可能性として考えられるのは、いわゆるデッドマンの状況での対応です。デッドマンとは、運転中に運転者が体調を崩し、意識不明や死亡した場合などの緊急事態のことです。
たとえば、最新のスバル「アイサイトX」では、車内モニターで運転者の異常を感知し、車内警報を鳴らし、さらには位置情報からカーブを過ぎた直線路で緊急停止する仕組みを備えています。
将来的には、こうした緊急状態で車両の停止位置を移動しなければならない状況が生まれた場合、たとえばネクスコなどの道路管理者が遠隔運転をすることも考慮されるのではないでしょうか。
2030年代には、そうしたサービスが実用化されているのかもしれません。
Writer: 桃田健史
ジャーナリスト。量産車の研究開発、自動車競技など、自動車産業界にこれまで約40年間かかわる。
IT、環境分野を含めて、世界各地で定常的に取材を続ける。
経済メディア、自動車系メディアでの各種連載、テレビやネットでの社会情勢についての解説、自動車レース番組の解説など。
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