国内自動車メーカーに衝撃!? ホンダを抜いてスズキが国内2位に浮上した理由

小さなクルマが販売の70%を占めるホンダ

 自動車業界の動きを見ると、ホンダの動向も注目されます。ホンダは、2011年に投入した初代N-BOXが好調に売れて、国内市場における軽自動車の販売比率を50%前後まで高めました。

 これは、スズキとダイハツが今後の軽自動車販売に不安を感じて、小型車に力を入れているのとは逆の展開です。

ホンダの主力「N-BOX」(2020年12月マイナーチェンジ)
ホンダの主力「N-BOX」(2020年12月マイナーチェンジ)

 しかもN-BOXと「N-WGN」の軽自動車の販売台数に、小型車の「フィット」と「フリード」を加えると、国内で売られるホンダ車の約70%に達します。

 中高年齢層のユーザーにとって、ホンダはスポーティなイメージがありますが、若年層には小さなクルマのメーカーになっているのです。

 軽自動車は小型/普通車に比べると1台当たりの粗利が低く、売れ行きを伸ばしても儲けは少ないです。

 スズキやダイハツは、そこを見越して販売店の規模も全般的に小さいですが、ホンダはいまでも大規模店舗が中心です。

 ホンダがスズキやダイハツと同じ土俵で勝負すると、コストのバランスに無理が生じます。

 ホンダは2000年代の中盤に、クリオ/ベルノ/プリモという3つの販売系列を撤廃して、いまのホンダカーズに統合しました。

 全店で全車を売るようになり、コンパクトで割安なフィットなどが売れ行きを伸ばしています。

 逆に価格の高い「アコード」や「オデッセイ」は、登録台数を下げました。2011年に初代N-BOXを発売すると、この流れが加速して、ホンダは小さなクルマのメーカーになったのです。

 また、2020年1月から11月の販売において、ホンダが従来の2位から3位に下がったのは注目される動きでしょう。

 ホンダの商品企画担当者は「コロナ禍によるマイナスが大きく影響しました。販売不振から抜け出すのに、予想外の時間を要しています」といっています。

 2020年1月から11月の販売台数を対前年比で見ると、ホンダは16%のマイナスです。ほかのメーカーも減少していますが、トヨタは7.2%、スズキは10.6%、ダイハツは12%なので、ホンダの下落はとくに大きいといえます

 2020年10月のホンダは、対前年比がプラス38.1%になり、11月も16.2%伸びました。

 ただし前年比の対象となる2019年10月には、消費増税の影響やフィットがモデル末期だった影響もあり、その際のホンダは対2018年比を30%から40%下げていました。

 つまりホンダは2019年後半に失速していたから、2020年の10月、11月に急増しても、マイナスを取り戻したに過ぎないのです。

※ ※ ※

 このように国内販売の2位のスズキ、3位のホンダ、4位のダイハツは、混戦模様になっています。

 今後のホンダは、小さなクルマのメーカーを脱して、2021年春頃に登場するとされる「ヴェゼル」やミニバンの「ステップワゴン」などの売れ行きを伸ばすことが大切です。

 そこを怠って軽自動車の比率が高まると、「シビックセダン」のように、小型/普通車の廃止が進んでしまいます。

 ダイハツは軽自動車の商品力を高めることが大切です。2021年には「ムーヴ」のフルモデルチェンジが予定され、タントやタフトと同じく、DNGAの考え方に基づいたプラットフォームを採用します。

 走りをいかに熟成させ、安全装備を進化させるかが注目されるでしょう。

 スズキは2020年12月にソリオをフルモデルチェンジしたので、小型車については落ち着いています。

 2021年には「アルト」のフルモデルチェンジが注目され、「ジムニー」の納期は相変わらず約1年と長いので、この期間を短縮することも重要です。

 以上のように、ホンダは小型車、ダイハツは軽自動車、スズキには軽自動車と小型車の両方にバランス良く力を入れて、双方の市場を活性化させて欲しいです。

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Writer: 渡辺陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、2001年にフリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を得意とする。

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2件のコメント

  1. CMをみると明らかにダイハツは押し売りみたいに機能を主張しすぎている
    スズキの方がなんとなく楽しいイメージだけで売っている
    少子化やそれこそ未婚の人も多い中、説明しすぎるとその機能いる?っていう結論にもなる
    お前1人なのにピラーレス必要かよ?wwって言われるのをビクビクしながら運転したい?
    あと、左ドアをぶつけると修理費が高そうという不安もある

    個人的には方向性が決まれば後は外観だけの問題だからタントの機能説明は出産雑誌などで丁寧に解説すればいいと思う
    寧ろ子供の為というニッチなCMじゃなくてキャンプとか仕事とかの使い勝手を言葉でなくシーンで観せた方がいい印象を与えると思う

  2. 我が家も長年ダイハツ車でしたが、スズキに鞍替えしたくらいですので、スズキ車の販売台数が伸びてるのは納得です。
    スズキの景気が良くなれば、スポーツカーを生産してくれるのではないか?と淡い期待を抱いてしまいます。
    電動化が進む中、エンジン車ではもはや不可能とは思うので、電動化第一弾で、是非、フロンテクーペを復活していただきたいです。
    リアモーターリア駆動の楽しい車をスズキなら造れると期待しております。

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