「覚えていますか?」 昔のナビは不便だった? いまや快適過ぎるクルマの技術とは
登場するには早すぎた? いすゞ渾身の凄いトランスミッションとは?
「MTとATのいい所取りのトランスミッションが欲しい」、そんな想いから生まれたのがいわゆる自動MTと呼ばれるシステムです。
その元祖が1984年にいすゞ「アスカ」に採用された「NAVI5」です。
開発の経緯は色々ありますが、当時ライバルは多段化ATを搭載するなか、旧式の3速ATしか持っていなかったいすゞの社内事情から生まれた技術といわれています。
各種センサーから情報をコンピューター(何とROM8Kバイト、RAM192バイト)に入力し、ギアチェンジ/クラッチコントロールのタイミングを決定。
機構としては理想のシステムでしたが、当時の技術では限界があったのも事実です。
とくにシフトアップ時のトルク切れによるドライバビリティの悪さは、当時いすゞが謳っていた「ベテランドライバーのような走り」とはほど遠く、その評価は決して高い物ではありませんでした。
NAVI5自体は短命で終わりますが、その技術は現在トラック用の「スムーサー」が受け継いでいます。
その概念は世界の自動車メーカーに大きな影響を与えたのは事実で、その証拠にアルファロメオの「セレスピード」、フェラーリの「F1マチック」などが登場。
さらに2003年に、フォルクスワーゲンがツインクラッチを採用した「DSG」が登場により自動MTは大きく開花します。
その一方でATの進化も著しく、近年はMTのようなダイレクト感を備えたシステムも登場するなど、トランスミッションは著しい進化を遂げました。つまり、NAVI5の登場は少々早すぎだったのかもしれません。
Writer: 山本シンヤ
自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車メディアの世界に転職。2013年に独立し、「造り手」と「使い手」の両方の想いを伝えるために「自動車研究家」を名乗って活動中。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
NAVl5の開発はドライビングロボットを旗印に実際のドライバーの操作を機械に学習させる方式でしたが、開発中は運転席以外はコンピュータでビッシリ!JTジェミニで開発が始まりフローリアン・アスカで発売されましたがアスカ用の4FC1ディーゼルのトルクの太さに微妙なクラッチ操作のできない事が災いしてクラッチ寿命がMT車の半分?なんて話も聞きました。
後にNKR57系エルフの4BC2型エンジンに組み合わされたNAVl5は回転を合わせてギヤダウンするヒールアンドトゥーのような技術も盛り込まれトラックのAT時代の先陣をきりました。
後にFRR系フォワードやLV系のバスなどに6速ミッションと組んNAVI6として活躍の場を広げました。
現在のスムーサーはフォワードやエルフにはフルードカップリング(ビスカスLSDに類似)がクラッチの代わりに用いられたAMTが用いられてCYJ、CYLなどの大型ギガにはMT用に類似したクラッチ板が用いられてクラッチペダルも装備されてました。