脱ガソリン車は葬儀業界にも影響? 霊柩車もEV化! 日本初「リーフ霊柩車」なぜ導入したのか
改造するにはどんな苦労があった?
リーフベースの霊柩車を製造したのは、大阪府大東市にある平成自動車工業有限会社です。
デザインから企画が立ち上がるまでに約半年。そこから霊柩車として完成するまでも4か月から5か月が必要だったといいます。改造で苦労された点を伺いました。
――日本初のEV化された霊柩車。苦労された点は?
EVベースの霊柩車の製作は初めてですから、「作れるかどうか」というところからスタートしました。
モノコックボディであることや、EVのバッテリーの扱いも苦労しました。デザインを描いて製造に着手するまでに半年かかりました。
――デザインのコンセプトは?
リーフのスタイルをできるだけキープしながら、見た目がスッキリしたきれいなデザインを目指しました。
パッと見た瞬間、霊柩車とはわからない、霊柩車らしくないデザインであることも重視しています。
完成したあと、高速道路や坂道、一般道路などさまざまな場所でテストのために走行しましたが、予想外に注目を集めてたくさん写真を撮られました。
――2台目も同じデザインですか?
2台目は色を少し変えて欲しいという要望を頂いたので違うデザインとなっています。ルーフのレザー部分がガンメタで、帯のラインは黒っぽく仕上げています。
――霊柩車のベース車としてリーフにはどんなメリットがありますか?
一番簡単にいうと、メンテナンスがしやすいということでしょう。
かつて、霊柩車といえばリンカーンをはじめ、大柄なアメリカ車が主流でした。
日本セレモニーでもリンカーンをアメリカから直輸入してかなりの台数を使用しておりますが、20年近く経過したモデルもあり、アフターパーツの入手が難しくなってきています。
細かなパーツからデフやミッションといった大きな部品まで色々です。
対して、リーフやトヨタ「プリウスα」であればディーラーもたくさんあるので部品入手に困ることはありません。
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なお、日本セレモニーではこれからも、老朽化したリンカーン霊柩車などを入れ替える形でリーフ霊柩車を増やしていく考えだといいます。
人生最期の乗車は排ガスを出さないクリーンなEV。リーフ霊柩車を導入する葬儀会社はこれからも増えそうです。
Writer: 加藤久美子
山口県生まれ。学生時代は某トヨタディーラーで納車引取のバイトに明け暮れ運転技術と洗車技術を磨く。日刊自動車新聞社に入社後は自動車年鑑、輸入車ガイドブックなどの編集に携わる。その後フリーランスへ。公認チャイルドシート指導員として、車と子供の安全に関する啓発活動も行う。
よく作ったな、更にはリーフを背中合わせにしたらどうだろうか?