脱ガソリン車は葬儀業界にも影響? 霊柩車もEV化! 日本初「リーフ霊柩車」なぜ導入したのか
連日のように「脱ガソリン車」の報道が流れていますが、人生最後の祭典となる葬儀においてもその傾向が現われているといいます。従来の霊柩車は、アメリカ製のリンカーンやトヨタ「クラウン」などが主流でしたが、2020年には日産の電気自動車「リーフ」をベースとしたEV化された霊柩車が登場しました。なぜ、電気霊柩車を導入したのでしょうか。
霊柩車にEVを導入した理由は?
脱ガソリン車の動きが国内外で広がりを見せるなか、日本政府は2030年代半ばまでに「純ガソリン車」の新車販売を禁止する考えを示しました。
そうした昨今の状況からか、亡くなられた人を斎場から火葬場に運ぶ霊柩車の世界にも、ついにEVが登場したといいます。
日産「リーフ」をベースとした日本初の電気霊柩車を導入したのは、株式会社日本セレモニー(本社:山口県下関市)という会社です。同社は東北と西日本合計で212箇所の斎場「典礼会館」を展開しています。
2019年12月末に納車されたという日本初の電気霊柩車は、まず何よりも白を基調としたボディカラーが印象的です。
環境に配慮したクリーンなイメージのスタイルは、おごそかな雰囲気も感じられます。
ボディサイズは全長6480mm×全幅1790mm×全高1530mm、ホイールベース4700mm。ホイールベースだけで普通車1台分の長さがあることに驚きます。
ベースとなるリーフのボディサイズは、全長4480mm×全幅1790mm×全高1560mm、ホイールベース2700mmなので、ホイールベースを2m延長した分がそのまま全長に反映されています。
なお、車両総重量は標準リーフが約1.7tから1.9tのところ、霊柩車リーフは約2.3tとかなり重くなっています。
ちなみに、同社で使用しているリンカーン「タウンカー」をベースにした霊柩車のサイズは、全長6980mm×全幅1990mm×全高1550mm、ホイールベース4450mm。全長と全幅に大きな違いがあり、リーフ霊柩車は日本の道路事情にもマッチしたサイズになっています。
導入されて約11か月経過した現在の走行距離は8142km。走行するルートは決まっており、1か月に40回から50回、斎場と火葬場の往復だけで使用されているそうです。
現在、典礼会館で使われているリーフベースの霊柩車は全国で2台だけで、1台目が下関典礼会館、2台目が福岡県久留米市の久留米典礼会館で使われています(少しデザインが異なっています)
リーフの霊柩車を導入した理由などを下関典礼会館に聞いてみました。
――リーフを霊柩車に導入した理由はどんなことでしょうか?
環境配慮の一環として、ハイブリッド車(トヨタ・プリウス)の霊柩車などをいち早く導入しておりましたが、より環境にやさしい電気自動車を取り入れることにしました。
――EV化された霊柩車がこれまでの霊柩車と違うところは?
ご出棺時にエンジンの音などがないため、ご挨拶の場面でしっかりとお言葉を伝えることが出来ると思います。
霊柩車のそばでお見送りされる人達に対し排気ガスが影響することがないことも良い点だと考えています。
同乗される遺族はやはりその静かさに驚かれますね。『とても静かですね』『環境に配慮されているのですね』というお言葉をいただくこともあります。
――霊柩車は黒というイメージですが、こちらのリーフは白がベースとなっています。なぜ、白いのでしょうか?
西洋文化が入ったことで、喪服も霊柩車も「黒」がスタンダードになりましたが、日本における古くからの正装は「白」が基本です。
それで、典礼会館では元々の正装の色である白と色を決めています。
ほかに、タウンカーやプリウスベースの霊柩車がありますが、これらもみな白いボディカラーです。
――普段のメンテナンスで注意すべきことはありますか?
通常、葬儀が執りおこなわれて霊柩車が運行する性質上、走行距離は把握しやすいですが、万一に備えての充電量には注意しております。
重量があるため(2.3t)一充電あたりの走行距離は140kmとなっています。
よく作ったな、更にはリーフを背中合わせにしたらどうだろうか?