約10年後の車は何で判断? ガソリン車はエンジンでも EVはモーター差が評価の対象になるのか
EVはニーズに合わせた味付けが無限大に可能?
しかし、EVの総合性能という点では、単にモーターとバッテリーのスペックを見るだけで十分とはいえません。
バッテリーからモーターにどのように電力を供給するかというソフト面も重要となるからです。
内燃機関車の場合も、アクセル開度に応じたガソリンの散布量などをチューニングすることで、モデルごとの運動特性を演出することが可能ですが、EVは、内燃機関車よりもさらに柔軟に調整することが可能とされています。
もちろん、モーターやバッテリーの限界性能を超えることはできませんが、限界性能の範囲内で、加速性能に重点を置いたり、反対に航続距離を重視したりということが可能です。
しかも、理論的にはソフトウェア上でそうしたチューニングが可能であるため、ニーズに合わせた味付けができるのもEVの大きな特徴だといえます。
米国のEVメーカーであるテスラは、最高出力が1000馬力を超えるようなモデルや、スーパーカーも太刀打ちできないほどの加速を誇るモデルが発表されています。
これらは、従来のような超高性能エンジンを開発・搭載することに比べれば、ソフトウェアである程度は調整できる分、そうしたバリエーションづくりはEVのほうが得意といえるでしょう。

このように考えると、EVは単にハードウェア上のスペックでは語れないということになります。
とくにソフトウェアの設定などは、諸元表やカタログなどから読み取るのは難しいかもしれません。
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内燃機関車にもいえることですが、現代のクルマは単にスペックのみだけで良し悪しを判断できるようなものではなくなっています。
微妙なステアリングも操作感や、内装の手触り、あるいはディスプレイオーディオなどの最先端装備の機能性など、現代のクルマの判断基準はさまざまです。
そして、EVの時代ではとくにその傾向が顕著になるといわれています。
結局のところ、実際に試乗してみなければわからないというのは、EVも内燃機関車も同じといえるでしょう。
Writer: PeacockBlue K.K. 瓜生洋明
自動車系インターネット・メディア、大手IT企業、外資系出版社を経て、2017年にPeacock Blue K.K./株式会社ピーコックブルーを創業。グローバルな視点にもとづくビジネスコラムから人文科学の知識を活かしたオリジナルコラムまで、その守備範囲は多岐にわたる。


































