やっぱり日産「エルグランド」にe-POWERが欲しかった!? 10年目のマイチェンの成果とは

期待していたe-POWER搭載が見送られた

 今回は先進安全技術も充実もポイントで、インテリジェントFCW(前方衝突予測警報)、ハイビームアシスト、インテリジェントLI(車線逸脱防止支援システム)/LDW(車線逸脱警報)、標識検知機能、踏み間違い衝突防止アシスト、インテリジェント エマージェンシーブレーキ、インテリジェントBSI(後側方衝突防止支援システム)/BSW(後側方車両検知警報)、RCTA(後退時車両検知警報)などで全方向から運転をサポートする「360°セーフティアシスト」を全車に採用。

 また、長距離ドライブに役立つインテリジェントクルーズコントロールも全車標準装備になったものの、残念ながら今回も全車速対応ではありません。

日産「エルグランド」(2020年11月マイチェン)
日産「エルグランド」(2020年11月マイチェン)

 この辺りはマイナーチェンジで新世代「トヨタ・セーフティ・センス」へと刷新させたアルファード/ヴェルファイアと比べてしまうと苦しいですが、無いよりはあったほうがいいのは事実です。

 今回は走りに関する変更のアナウンスはありませんが、従来モデルと比べるとボディのシッカリ感やヒョコヒョコした動きが減った乗り心地、そして静粛性アップなどを感じました。

 これまでの経験から推測すると、作り込み精度アップや数値に表れない細かなリファインが効いているのでしょう。

 すでに登場から10年が経過するエルグランドですが、低床化や全高の抑制による低重心化やボディの高剛性化、アルミ製の前後サスペンションリンクやリバウンドスプリング内蔵のショックアブソーバー、リアマルチリンクサスペンション採用などによる基本素性の良さは健在です。

 コーナリング時の安定性としなやかな足さばきなどは「今でも十分通用するレベル」だと感じる一方で、芯が細くルーズなステアフィールは時代を感じさせる部分も。

 2.5リッター直列4気筒エンジン+CVTのパワートレインは必要十分な性能を備えているものの、アクセルを踏んだときの応答性やCVTの変速制御といった部分はドライバーの意志とはちょっとズレがあるように感じました。

「それならe-POWERを搭載してよ」といいたい所ですが、そのためにはほぼ全面刷新レベルの変更が必要だといいます。

※ ※ ※

 限られたリソースのなかで、エルグランドのイメージチェンジはできたと思います。

 もちろん、さまざまな事情で手を入れたくても手を入れられなかった部分があるのもよくわかりますが、「まだまだ現役を続行」というのであれば、もう少し手を入れてもよかったのかなと思うのも事実です。

 その辺りのモヤモヤはファクトリーカスタムのオーテックが解決してくれることを期待したいです。

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Writer: 山本シンヤ

自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車メディアの世界に転職。2013年に独立し、「造り手」と「使い手」の両方の想いを伝えるために「自動車研究家」を名乗って活動中。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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