なぜ国産スポーツカーの価格が高騰? コロナ禍で「25年ルール」物件も下降気味か
北米におけるJDM(ジャパン・ドメスティック・マーケット)ブームは、日本国内におけるスポーツカーの中古車相場を大きく引き上げたようだ。しかし、コロナ禍における2020年においては、そのムーブメントにも若干の変化が見られるようだ。最新オークション結果を交えて、現状を分析してみよう。
いま、日本のスポーツカーの価格が高騰中!
日本では、新車登録から13年を超えたクルマを所有していると、自動車税が加算されるのはご存知のとおりだ。
そのこともあって、日本では車歴が13年を超えるクルマは、中古車市場でも値段が一気に落ちる傾向がある。いやもちろん、旧いとか走行距離が多い、あちこちにガタがきていて修理費用がかかる……等々という理由もあるのだが。
ところが近年、ことスポーツカーでは、13年超の重課税にも関わらず、中古車市場での価値は高騰している。一時は数万円とか、高くてもふた桁万円で買えていたモデルが、3桁万円は当たり前、車種によっては4桁万円に届きそうな価格となっていることも珍しくない。
その大きな要因が、北米大陸での日本製スポーツカー人気にある。
北米大陸ではいまから30年ほど前、現地のエイジアンやチカーノの間で、日本車をベースとしたハイテックやスポーツコンパクトといったカスタマイズが人気を呼んでいた。
その後、映画『ワイルド・スピード』のヒットによって、速さを実現するための手段として日本で盛りあがっていたチューニングが知られるようになり、日本車と日本製チューニングパーツは、一種のブランドとして認知されるようになる。
そして現在では、JDM(ジャパン・ドメスティック・マーケット)はクルマ好きでは当たり前のものなりつつあって、たとえば車検ステッカーや車庫ステッカー、日本のナンバープレートが高値で取り引きされるようになっている。
ではなぜ、北米大陸で旧い日本車がチューニングやカスタマイズのベース車となり得たのか。そこには、カナダとアメリカの、独自のルールがある。
カナダでは新車登録から15年、アメリカでは25年を経過したクルマは、クラシックカー扱いとなり、排気ガス検査や関税は必要なく、右ハンドルのまま輸入できるようになるのだ。
右側通行であるカナダやアメリカでは、ハンドルの位置は左でなければ公道を走行できないのだが、クラシックカーでは許されているのである。
30年ほど前のスポコンブームのあたりでは、北米で正規販売されていた日本車に、日本製チューニングパーツをセットするというのが主流だったのだが、いまでは正規に日本で走っていたクルマをベースにする、というのがステータスとなっている。
そのため、重課税でだぶついていた日本製の中古スポーツカー、とくに映画に登場するトヨタ「スープラ」や日産スカイライン「GT−R」「シルビア」、ホンダ「S2000」、スバル「インプレッサWRX」などが、日本の中古車相場よりも高値で買われて、北米に流れていくようになった。
そうなると当然、日本の中古車市場においても、プライスは高騰する。とくに市場規模が大きいアメリカの、25年ルールに当てはまるスポーツカーは、マニアでも手が出ないという価格となってしまっているのだ。
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