あの「クラウン」が生産終了!? セダン離れのなか それでも超高級車のセダンが登場する理由
2020年11月、トヨタ「クラウン」がセダンを廃止するというニュースが流れた。まだトヨタから正式なリリースはないため、その真偽のほどはわからないが、1955年の初代登場以来、15代65年にわたり発売されている、日本を代表する高級セダンの今後に注目が集まる。セダン人気の低迷は日本だけの話ではないが、それでもメルセデス・ベンツ「Sクラス」やレクサス「LS」など、新型がセダンボディで登場している。これからセダンはどうなっていくのか考えてみた。
世界的なセダンの人気低迷 そもそもセダンとはなにか
最近になって「セダン」にまつわる話題は、どうにも逆風的なものが多いようだ。
フォードは北米でのセダン販売撤退の方針を明らかにしているし、トヨタ「クラウン」も、次世代モデルはセダン以外のボディタイプになるという報道も見られる。実際に、日本国内のセダンの販売はずっと低調のままだ。
しかし、2020年9月に欧州で世界初公開されたメルセデス・ベンツの象徴的存在である新型「Sクラス」は、セダンのスタイリングで登場した。
また「メルセデス-マイバッハSクラス」やレクサス新型「LS」など、いわゆる高級モデルは相変わらずセダンのスタイルを踏襲している。
いったいセダンは、今後は廃れていくのか、それとも生き残るものなのか。今回はセダンの存在意義や超高級モデルでセダンがいまだに支持される理由を考えてみたい。
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まず、セダンとはなんなのか? その定義を考えてみよう。
一般的には「固定ルーフ」「前後2列のシートで4~6人乗車」「ドアは4枚」「独立した荷室(トランクルーム)がある」といったものになるだろう。
オープンカーやカブリオレではなく、2枚ドアのクーペではなく、ハッチバックでもない。つまりは、誰もが最初にイメージするであろうという格好だ。英国風にいえば「サルーン」、ドイツ風で「リムジン」、フランス風には「ベルリーヌ」、イタリア風で「ベルリーナ」だ。
ポイントとなるのは、乗員のいる居住空間(キャビン)とは別に荷室(トランク)を後ろに備えていることだ。そのため、エンジンと居住空間、荷室(トランク)を、それぞれボックスと数えて、セダンを3ボックスと呼ぶこともある。
ちなみに居住空間(キャビン)と荷室(トランク)をひとつに合わせて、後ろにドアをつけたものが2ボックス、またはハッチバックやステーションワゴンと呼ばれる。
基本的に乗用車の普及は、ミドルサイズ以上ではセダン、小型車ではハッチバックからスタートしている。日本でいえば、最初の本格的な日本車であるクラウンはセダンであったし、ベストセラーカーであるカローラもセダンが基本だ。また、軽自動車やコンパクトカーも同じように、ハッチバック主体で普及が進んでいる。
しかし、モータリゼーションが進み、ひと通りにクルマが人々の間に行き届くと、次のクルマとしてセダンやハッチバック以外に目がゆく。
日本でいえば1970年からのスペシャリティカー人気や、1990年代のRVブーム、その後のミニバンの人気、そして最近のSUVトレンドなど、クルマの普及の歴史は、ボディタイプ増加の歴史といってもいいだろう。
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