全長5m超えトヨタ「シエナ」は好調!? 日米ミニバン市場の異なる事情とは

いまや日本では定番ジャンルとして親しまれている「ミニバン」。元々は、北米市場でフルサイズバンよりも小柄なことから「MINI-VAN」と名付けられたといいます。現在では日米のミニバン市場においてどのような違いがあるのでしょうか。

アメリカで誕生した「MINI VAN」。元祖ミニバンは何?

 1980年代から1990年代にかけてアメリカで誕生した新しいクルマのカテゴリーであるミニバンやSUV。実は日本勢が本家アメリカを大きくしのぐ人気となっています。
 
 これらのカテゴリーは、誕生から現在までにどのような変化を遂げてきたのでしょうか。

日本では未発売の全長5m超えの新型「シエナ」。日米ミニバン市場の異なる点とは
日本では未発売の全長5m超えの新型「シエナ」。日米ミニバン市場の異なる点とは

「MINI-VAN」と名付けられた世界初のクルマは1983年にクライスラー(現在のFCA)から発売された「ダッジ・キャラバン」と「プリムス・ボイジャー」の2車種です。

 ミニといってもボディサイズは、全長は4.7m前後、全幅も1.8m前後となり、日本人の感覚では3ナンバー車でも大きな部類に入ります。

 当時のアメリカで人気だったダッジバン、シェビーバンなどのいわゆる「フルサイズバン」(全長5.7m×全幅2m)に対して小さなバンという意味で「MINI-VAN」と命名されました。

 ちなみに、登場から37年を経た現在、最新のクライスラー製ミニバンの「パシフィカ」は全長5m×全幅2mを超えており、かつてのフルサイズバンに迫るボディサイズとなっています。

 北米市場において、ミニバンは別名「サッカー・マム」とも呼ばれており、これは、「子どものサッカー練習の送り迎えに適したクルマ」を意味します。

 1人1台の所有が当たり前のアメリカで、ミニバンはママ専用のクルマとして人気を拡大していき、クライスラーに続いて他社からも競うように新しいミニバンが登場し、それまでファミリーカーの定番だったステーションワゴンを消滅させるに至りました。

 運転しやすく荷物もたくさん積める「革命的な」ファミリーカーとして一時代を築いたミニバンですが、近年はその販売台数を徐々に減らしつつあります。

 北米市場におけるミニバンの販売比率において、2019年は乗用車+トラック(SUVなど含む)の販売台数約1700万台のうち、ミニバンは約40万台。シェアにするとわずか2%です。

 そのなかでは、どのようなミニバンが売れているのでしょうか。

 北米市場における2019年の年間売台数は以下の通りです。

●2019年 
 1位:ダッジ「キャラバン」12万2648台
 2位:ホンダ「オデッセイ」9万9113台 
 3位:クライスラー「パシフィカ」9万7705台
 4位:トヨタ「シエナ」7万3585台
 5位:起亜「セドナ」1万5931台

 2位にランクインしているオデッセイは、日本のオデッセイとは全く異なるモデルで、全長約5m、全幅約2mのビッグサイズのミニバンとなり、かつて日本でも「ラグレイト」という車名でホンダによって輸入・販売されていたことがあります。

 オデッセイやシエナは、2021年モデルでマイナーチェンジを受けて、スタイリッシュなデザインに一新。今後はますますアメリカ市場での販売台数を伸ばしていくことでしょう。

 なお、2019年でもっとも売れたダッジ・キャラバンは、2020年8月に環境性能を理由に生産自体を終了しています。

 これに対して日本で2019年の1年間(1月-12月)に販売された新車(乗用車)は約430万台となっています。

 このうちミニバン(1BOXワゴン+セミキャブワゴン+軽ワゴン)の合計販売台数は約222万台。単純に数字だけで計算するとアメリカの実に5倍以上となり、シェア割合では52%と、日本で販売された新車の半数以上がミニバンという結果になりました。

 日本ではミニバンに属する車種の数も大変多く、アメリカのミニバンが6、7車種であるのに対して、日本のミニバンは日本自動車販売連合会が定めるミニバン(セミキャブワゴン=ボンネットのある車高の高いワゴン。3列シートのあるクルマ。例外として一部2列シートの車種も含む)では40車種以上と、北米と日本におけるミニバンではその状況が大きく異なっているのです。

※ ※ ※

 ミニバンを生んだアメリカでは、数少ない車種で市場シェア2%を競い合っています。

 一方の日本では、今やミニバンはファミリーカーの代表車種であると同時に、日本を代表するカテゴリーにまで成長したといえるでしょう。

【画像】全長5m超えの巨大ミニバン! シエナ&オデッセイを比較する!(57枚)

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