ガルウイングのメルセデスは1億5000万円オーバー!! コレクターズアイテムの「300SL」と「SLS」とは

元祖ガルウイングのコレクターズモデル「300SL」は1億5000万円オーバー!

 もう一方のガルウイング・メルセデスである300SLは、誰もが知るコレクターズカーの代表格だ。

「300」とはいうまでもなく、搭載されるエンジンの排気量である「3リッター」、「SL」はドイツ語で「Super Leicht(超軽量)」を表している。

●1955 メルセデス・ベンツ「300 SL ガルウイング」

『死刑台のエレベーター』などの映画の劇中車としても登場し、一世を風靡したメルセデス・ベンツ「300 SL ガルウイング」(C)2020 Courtesy of RM Sotheby's
『死刑台のエレベーター』などの映画の劇中車としても登場し、一世を風靡したメルセデス・ベンツ「300 SL ガルウイング」(C)2020 Courtesy of RM Sotheby's

 実際に1954年のニューヨーク・ショーに姿を現した300SLは、その軽量化のために独特なスペースフレーム構造を持つことと、全高の低さを理由に、通常の左右開きドアを使用することができず、ガルウイングドアを採用した経緯があった。

 300SLは生産モデルの発表以前に、さまざまなモータースポーツ・イベントに登場し、そこで圧倒的な強さを見せつけていたので、ニューヨーク・ショーでの注目度は非常に高かった。

 さらに生産化のためにメルセデス・ベンツは、1953年のモータースポーツ活動を中止して、プロダクションモデルの開発を進めたくらいだから、その評価はまさに当然のことといってもよかったのである。

 300SLのフロントミッドには、自動車では世界初となるガソリン噴射エンジンが搭載された。排気量は前でも触れたとおり3リッター。この直列6気筒エンジンはフロントエンドの高さを低減するために側面方向に45度傾けて搭載されていた。

 最高出力は215psで、これに4速MTを組み合わせて後輪を駆動した。ちなみにファイナルは、当時、5タイプから選択ができた。

 セールスは当然の如く好調であった。1954年から1957年の初頭までに生産された1400台の初期モデルのうち、実に1000台以上がアメリカで販売された。

 その傾向はその後も変わることはなく、オープンモデルのロードスターを生み出す直接の理由ともなった。

 出品車の300SLは1955年式であるから、かなり初期にデリバリーされたもの。最初のカスタマーは1950年代にスクーデリア・フェラーリなどのドライバーとして活躍したウンベルト・マグリオーリで、その後も多くのレーシング・ドライバーによって所有されてきた。

 スペアタイヤを始め、ノックオフハンマー、ツールロール、ウインドウバックなど、すべてのアクセサリーはもちろん完備されており、ヒストリーの正しさはメルセデス・ベンツのデーターシートで文書化されている折り紙付きだ。

 140万−160万ドルというエスティメートに対して、落札価格は149万5500ドル(邦貨換算約1億5500万円)。さすがは由緒正しき、メルセデス・ベンツの誇るクラッシックモデルといったところだろう。

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