なぜAppleは「車の鍵」を開発? iPhoneを鍵化する「CarKey」の狙いとは

いまやApple CarPlayはほぼ標準化。 CarKeyも将来にはそうなる?

 通常のキーレスエントリーシステムに比べて、iPhoneなどの端末は、端末自体にパスワードや顔認証によるロックがかかっていることから、セキュリティは向上しているといわれています。

 また、将来的には超広帯域無線の技術を使い、車両とiPhoneの位置関係でもユーザーを認識するようになるため、セキュリティはさらに強化されると発表されています。

 ただ、普及という面で考えるともう少し時間がかかりそうです。そもそもCarKeyは、iPhoneやApple Watchを対象としているということもあり、全車種標準装備ではなくあくまでオプションでの取り扱いとなる予定です。

 具体的な価格などは明らかにされていませんが、価格次第ではiPhoneユーザーも様子見をするかもしれません。

いまやグローバル市場で8割以上の新型モデルに採用される「Apple CarPlay」
いまやグローバル市場で8割以上の新型モデルに採用される「Apple CarPlay」

 とはいえ、セキュリティ面やユーティリティ面から、スマートフォンをクルマのキーにするというメリットも少なくないことから、ゆるやかに浸透していくものと考えられます。

 2019年のiPhoneシリーズの総出荷台数は、1億台をゆうに超えるとされ、2019年の世界全体での新車販売台数は約9000万台であることと比べると、CarKeyを採用することでiPhoneユーザーを自社の顧客にできるのなら、多くの自動車メーカーがCarkeyを導入していくことでしょう。

 iPhoneも当初は懐疑的にとらえられることがありましたが、現在でも押しも押されもせぬスマートフォンの代表格となっています。スマートフォンの普及状況を見ると、クルマのキーがスマートフォンに集約されていくことは間違いないといえます。

※ ※ ※

 Appleが2014年にCar Playを発表してから6年が経過しました。導入当初はBMWの一部のラインナップだけでしたが、アメリカでは97%の新車で使用可能となり、グローバルでは約80%の新車に標準装備されているといいます。

 Appleにとって、次なる成長戦略の鍵は、iPhoneをいかに日々の生活に食い込ませるかにかかっているといわれています。

 Appleが積極的にCarKeyを推進していることを考えると、CarKeyが普及して「当たり前の機能」とされる未来もそう遠くないかもしれません。

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Writer: PeacockBlue K.K. 瓜生洋明

自動車系インターネット・メディア、大手IT企業、外資系出版社を経て、2017年にPeacock Blue K.K./株式会社ピーコックブルーを創業。グローバルな視点にもとづくビジネスコラムから人文科学の知識を活かしたオリジナルコラムまで、その守備範囲は多岐にわたる。

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