米国で国産旧車が熱い!! ホンダ「N360」の輸出仕様は360万円で落札!

通称「水中メガネ」の驚きの落札価格とは

「THE ELKHART COLLECTION」コレクションに出品された、もう1台のホンダ軽自動車由来のマイクロカーは、N600と基本を一にするスポーツクーペである。

 軽自動車初のスペシャリティカーとしてデビューを飾り、今なおホンダ・エンスージアストの間で愛され続けているホンダ「Z360」の輸出向け拡大バージョン「Z600」である。

●1972 ホンダ「Z600」

ホンダ「Z600」は、1万5000−2万ドルというエスティメート対して2万5760ドル、日本円にして約270万円で落札された(C)2020 Courtesy of RM Sotheby's
ホンダ「Z600」は、1万5000−2万ドルというエスティメート対して2万5760ドル、日本円にして約270万円で落札された(C)2020 Courtesy of RM Sotheby's

 ホンダZ360は、N360をベースとして開発され、1970年10月にデビューした。また1971年12月にはN360の実質的後継車、ホンダ初代「ライフ」のプラットフォームを流用する後期型に進化したのち、1974年まで生産された。

 日産S30系「フェアレディZ」を小さくデフォルメしたと評されることもあったというボディは、当初はいわゆる「ファストバック」で企画されていたとのこと。

 ところがデザインの中途段階において、後席にもいくばくかのヘッドルームを設けるために後方までルーフを伸ばしたことから、テールエンドはエステートワゴンのごとく斜めにカットしたグラスハッチとされたのが、エクステリアにおけるもっとも大きな特徴となった。

 そして、このグラスハッチを縁どる黒いプラスティック製枠の形状と色から、ファンの間では「水中メガネ」のニックネームとともに愛されてきたのだ。

 ホンダZの登場、ダイハツは「フェローMAXハードトップ」、スズキは「フロンテ・クーペ」、そして三菱も「ミニカ・スキッパー」と、スペシャリティクーペを続々と投入。日本では一大勢力を築くことになったのだが、その一方でホンダZは輸出バージョンも生産された。

 N600と同じ空冷並列2気筒600ccエンジンを搭載し、北米では「HONDA 600 coupe」、欧州では「HONDA Z600」の名称で販売されたという。

 パワーユニットはN600と共用とされるものの、手もとの資料によると最高出力は45hp/6600rpm、最大トルクは5.2kgm/5000rpmと、N600の公表値とは若干異なるスペックとなっている。

 これは仕向け地による仕様や計測法の違いか、あるいは実際にチューニングが異なるかは不明なのだが、ともあれ車両重量はわずか475kgという軽さを利して、最高速度145km/hを標榜する、なかなかのスポーツカーであったようだ。

 Z600クーペは、北米で9500台あまりが販売されたといわれる。しかし、クルマの性格上か残存数は多くなく、現在ではかなりの希少車。

 その中の1台で、比較的良好なコンディションと見受けられる個体に、RMサザビーズ社は1万5000−2万ドルというエスティメートを設定した。

 そして実際の競売ではエスティメート上限を遥かに超える2万5760ドル、日本円換算で約270万円という上々の価格で落札となったのだ。

 ただ、同時に出品されたN600と比べてしまうと、落札価格にいささかの違いはあるのも事実。希少性という点においてはZ600がN600を上回ると思われるのだが、やはりコンディションの差が雌雄を決したと見るべきなのだろう。

 ちなみに、同じRMサザビーズ社が9月に開いた「AUBARN FALL」オークションでは、同じ1972年型ホンダ「Z600クーペ」が、2750ドル(約29万円)という驚くほどの安価で落札されている。しかし、これは写真を見れば「さもありなん」といいたくなるようなコンディションだった。

 よほど特別なヒストリーを持つ特別な希少車でもない限り、コンディションがプライスを決定する重要な要素であるのは、洋の東西を問わず間違いないようである。

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