登場から23年 HV車の先駆者「プリウス」初代は「オタク車」だった!? 燃費向上の歴史とは

元祖ハイブリッドカーと呼ばれるトヨタ「プリウス」。初代の登場から進化を続けてきましたが、最新モデルまでの間に燃費はどれくらい向上したのでしょうか。

初代は28.0km/L 最新モデルで燃費はどれくらい向上した?

 近年登場する新型車の燃費は軒並み良好で、自動車メーカー間の熾烈な開発競争の凄さを感じずにはいられません。

「プリウス」は日本のみならず世界のさまざまな市場で販売されている(画像は英国仕様のプリウス)
「プリウス」は日本のみならず世界のさまざまな市場で販売されている(画像は英国仕様のプリウス)

 なかでも、自動車業界の歴史に名を残すほどエポックメイキングなクルマとして、環境性能向上のためにハイブリッドシステムを搭載したトヨタ初代「プリウス」が挙げられます。

「21世紀に間に合いました」のキャッチフレーズで1997年に登場した初代プリウスは、量産乗用車として世界初となるハイブリッドシステム「THS」(トヨタハイブリッドシステム)を搭載。これにより、当時のガソリンエンジン車に比べ約2倍の燃費性能を実現したといいます。

 また、排出ガスに含まれる汚染物質も当時の規制値の約10分の1に抑えられました。

 価格は215万円(消費税含まず)からで、当時同クラスのクルマよりも数十万円ほど高価ではあったものの、搭載されるシステムの先進性を考慮するとバーゲンプライスだったといいます。

 プリウスは2017年に誕生から20年の節目を迎えました。

 初代プリウスのチーフエンジニアで、現在はトヨタの代表取締役会長を務める内山田竹志氏は、当時について「発売時は『ハイブリッド』という言葉は世間にまったく馴染みもなく、乗っている人は『オタク』だともいわれました」と振り返ります。

 しかし、初代プリウスの発売から20年以上が経過したいま、プリウスだけではなく、さまざまなハイブリッド車が登場し、市民権を得たといえるでしょう。

 それではここでクイズです。

 カタログに表記される燃費値は、国が指定する方法で測定した数値となります。

 2018年10月以降、国際基準でもある新たな測定方法が、新型車に対して義務化されました。2021年1月からは継続生産車に対しても適応が義務付けられる、この測定方法の名前は次のうちどれでしょうか。

【1】ワールド燃費基準法

【2】WLTCモード

【3】10・15モード燃費

【4】JC08モード燃費バージョン2

※ ※ ※

 正解は【2】の「WLTCモード」です。WLTCは、「Worldwide-harmonized Light vehicles Test Cycle」の略を意味します。

 2018年10月以前は「JC08モード」という計測方法でしたが、これは日本独自の試験方法となっていました。

 WLTCモードは、「市街地」「郊外」「高速道路」という3つの走行モードから構成され、さらに直近の利用実態をより反映した内容で燃費が測定されます。

 そのため、JC08モードよりもそのクルマの実燃費に近い値を表示できることがメリットです。同じクルマ同士で比較すると、WLTCモードはJC08モードよりも低い値になる傾向があります。

 ちなみに、JC08モードより前の測定方法は「10・15モード燃費」で、初代プリウスが販売されていた頃は10・15モード燃費が使用されていました。

 歴代プリウスの燃費を追っていくと(数値はすべて登場時)、初代プリウスは10・15モード燃費で28.0km/L、2代目プリウスは10・15モード燃費で35.5km/L、3代目プリウスは10・15モード燃費で38.0km/L、4代目プリウスはJC08モードで40.8km/Lと、歴代モデルを通じて燃費が向上しているのが分かります。

 2020年10月現在販売されているプリウスの諸元表にはWLTCモードが使用されていますが、カタログ燃費は最高で32.1km/L。

 10・15モードよりも相当に厳しくなっているにも関わらず、初代プリウスの燃費を上回る記録を叩き出しており、技術の進化を感じさせます。

※クイズの出典元:くるまマイスター検定

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