ケネディ大統領が暗殺日当時に乗った「リンカーン」は約4000万円で落札!

ケネディが私用で使っていたリンカーンの値段は?

 ボナムズ「The American Presidential Experience」オークションには、ケネディ元大統領にゆかりのあるリンカーンが、もう1台出品されていた。

●リンカーン「コンチネンタル・マークV」

ケネディ大統領が私用で使用していたリンカーンは、防弾仕様の左右ドア、リアコンパートメント用のエアコン・コントロールも特注で設えられるなど、ほぼ「リモ・ワン」に準ずる機能は完備していた
ケネディ大統領が私用で使用していたリンカーンは、防弾仕様の左右ドア、リアコンパートメント用のエアコン・コントロールも特注で設えられるなど、ほぼ「リモ・ワン」に準ずる機能は完備していた

 奇しくもJ.F.K.が大統領に選ばれたのと同じ1960年に製作され、主に「パーソナルな」用途で、ワシントンD.C.のホワイトハウス周辺において使用されたというヒストリーを持つ、漆黒のリンカーン「コンチネンタル・マークV」である。

 ただし公用車ではないパーソナルカーとはいえども、そこは大統領の乗るクルマ。ボナムズ社の公式オークションWEBカタログによると、フォード社からアメリカ合衆国政府に年間500ドルでレンタルされていたという。

 また、1948年から2001年にかけて、すべてのアメリカ合衆国大統領専用車両を手掛けていたセキュリティ車両架装のスペシャリスト「Hess & Eisenhardt」社に委ねられ、防弾仕様の左右ドア、パワーステアリング、リアコンパートメント用のエアコン・コントロールも特注で設えられるなど、ほぼ「リモ・ワン」に準ずる機能は完備していた。

 ケネディ元大統領の死後、大統領に就任したリンドン・ジョンソンは、この車両を使用することはなかった。そして1964年3月にJ.F.K.の友人ジェームズC.ウォルシュ博士を介して、メリーランド州イーストンのカークランドホール・カレッジに寄付された。

 そののち複数の個人オーナーやミュージアムの所蔵を経て、ダラスの事件から50年後となる2013年10月24日には、ボストンの「RRオークション」社が販売したとの記録が残っている。

 この1960年型リンカーン・コンチネンタル・セダンにボナムズ社が設定したエスティメート(推定落札価格)は20万ドル−30万ドル。つまり、日本円に換算すると約2100万円−約3200万円という、こちらも同じ年式の同型車、そして同じくらいのコンディションのリンカーンと比べても、10倍以上に相当する高額のプライスであった。

 ところが、14日午後(現地時刻)からおこなわれた競売では、残念ながら最低落札価格には至らなかったようで流札に終わり、現状では継続販売となっている。

 もう1台の白いリンカーン・コンチネンタル・コンバーチブルよりも、ケネディ元大統領が実際に乗車した機会は多かったであろう個体ながら、こちらは落札に至らなかったのは、複数の理由が考えられよう。

 まず、同じリンカーン・コンチネンタルであっても、有名かつ市場評価も高い1955年モデルと1961年モデル(およびその発展型)と比べて、「コンチネンタル」のつかない「プレミア」セダンとボディを共用したこの時代のモデルは、クラシックカーマーケットにおける人気が明らかに低いことも一因と思われる。

 しかし、やはり歴史的事件への何らかのかかわりがあるか否かが、オークションにおいても評価を左右することも重要な要因となるのも間違いのないところ。

 それがオークションの現実であり、また醍醐味でもあるのだろう。

【画像】ケネディ大統領の公用車/私用車のリンカーンとは(28枚)

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