4輪レース用ヘルメットは、開口部が狭い ~木下隆之の、またがっちゃいましたVol.67~

レーシングドライバーの木下隆之さん(筆者)は、バイク用のヘルメットは開口部の狭い4輪レース用ヘルメットよりもコワイと言います。どういうことなのでしょうか?

バイク乗りから見たら逆に狭すぎる? 4輪レース用ヘルメット

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 僕(筆者:木下隆之)が長年活動の拠点としている4輪レースでは、ドライバーはフルフェイス型ヘルメットの着用が義務付けられている。とくに全日本級のプロカテゴリーでは、より安全性の高いカーボン製でなければならない。そして4輪レース用ヘルメットは、開口部が狭い。開口部の広さと安全性は反比例するようで、狭ければ狭いほど安全なのがその理由だろう。

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視界の狭い4輪レース用のフルフェイス型ヘルメットに慣れてしまった筆者(木下隆之)

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 そんなフルフェイスをかぶり続けて数十年、もはやフルフェイスでなければ恐怖を感じるようになってしまった。レース用マシンだけではなく、ラリー用マシンの開発テストをすることも少なくないのだが、そんな時でもジェット(オープンフェイス)型ヘルメットでは不安なのだ。

 恐怖を感じる理由は明確である。衝撃Gに負けて、顔面を強打するかもしれない。ドライバーの目の前にはステアリングがある。顔面に青タン作るには都合がいいのである。よしんばコンクリートフェンスに突っ込んだり横転することも覚悟しておかねばならないのがレーシングドライバーという職業なのだが、そんな危険なシーンを想像すると、アクセルペダルを踏む右足が緩むのである。

 というほどにビビっているわけだが、街中を走るバイクを眺めると、ジェット型ヘルメットの着用率が低くない。バイクはコケる。顔面青タンより痛そうな、顔面擦りも考えられる。事故を想像するだけで、見ているこっちが震えてしまうのである。

 ましてや、半キャップ(おわん型)なる形だけのヘルメットを被るライダーも少なくない。なかには野球の打者が被るような、プラスチックをちょこんと頭に乗せているだけのライダーまでいる。野球の審判だってもうちょっとマシなヘルメットを被っているというのに、生身の体を晒しているライダーがそのようなヘルメットとは解せない。

バイク用のオープンフェイスタイプのヘルメットにはなかなか馴染めないという木下

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Writer: 木下隆之

1960年5月5日生まれ。明治学院大学卒業後、出版社編集部勤務し独立。プロレーシングドライバーとして全日本選手権レースで優勝するなど国内外のトップカテゴリーで活躍。スーパー耐久レースでは5度のチャンピオン獲得。最多勝記録更新中。ニュルブルクリンク24時間レースでも優勝。自動車評論家としても活動。日本カーオブザイヤー選考委員。日本ボートオブザイヤー選考委員。

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