「価格は聞いて」!? 中古車でなぜ価格表記しない? 不安にさせる「ASK」の正体とは

なぜ価格を表記しない? 不安にさせる「ASK」の正体

 かつては中古車情報誌、そしていまではインターネットの中古車情報サイトで探すことが一般的となった中古車ですが、価格を見ると「ASK」と表記されていることがあります。

 つまり、「価格を知りたいなら販売店に連絡を」という意味なのですが、なぜ価格を表記しないのでしょうか。

 ASKのクルマを多く扱う、ある中古車販売店スタッフは次のように話します。

「『ASK』のタグを付ける理由はいくつかあります。もっとも多いのは、そのクルマの相場が安定していない場合です。

 国産の量販車や軽自動車などは中古車市場で大量に流通していることから、業者間オークションなどを通して自然と相場が安定します。

 しかし、例えば希少車やカスタムカーなどの一点物に近いクルマには相場価格がありません。

 その時々の情勢によって価格を決めるという点で、寿司屋の『時価』と同じ考えです。

 もうひとつは『複数価格』を持っている場合です。『お客さまによって値段を変える』というと聞こえが悪いですが、例えば、近年海外の人が日本にあるスポーツカーを購入する機会が増えました。

 地域によって送料や関税といった諸費用、法規対応に関する整備内容も異なるため、表示価格と支払価格が大きく異なってしまう可能性があります。つまり、見積もり対応という意味合いです」

 ここまでは、ある程度想像できる内容ですが、実はより複雑な業界事情もあるようです。前述のスタッフは続けて次のように話します。

「少し内輪の話になりますが、相場の安定していないクルマに対して価格を公表してしまうと、同業他社間で基準にされてしまうということがあります。

 例えば、中古車市場にあまり流通していないモデルで、走行距離3万キロ、並のコンディションのクルマに対して300万円の値札をつけた場合、走行距離1万キロで状態のより良い同じクルマを持っている別の販売店は、当然それ以上の値段をつけます。

 すると、最初に値札をつけた販売店は、どうがんばっても300万円以上で売ることはできなくなってしまいます。

 もしかしたら、最初に400万円の値札を付けていたら400万円で売れたかもしれません」

複雑な事情がある中古車市場。ユーザーにとっては価格が表記されている方が有り難い?
複雑な事情がある中古車市場。ユーザーにとっては価格が表記されている方が有り難い?

 かつては、自身の持つクルマを自慢がしたいために、売る気はないにもかかわらず「ASK」で出品し、問い合わせを受けたら法外な値段を提示するということもあったといわれますが、現在でもそうした悪徳な事例はあるのでしょうか。

 前出の中古車販売店スタッフは続けます。

「業界全体が健全化しているので、かつてのような逸話はほとんど聞きません。

 当店も『ASK』のクルマが多くありますが、すべて値段は設定されているので、お問い合わせいただければ基本的にはお答えしています。

 販売店としては、本当にそのクルマを欲しい人に売りたいという気持ちも強いので、熱意をもってお問い合わせいただいた人には、誠意を持って対応しています」

※ ※ ※

 海外では「P.O.R(Price on Request)」と表記されることもある中古車の「ASK」ですが、その背景にはさまざまな事情があるようです。

 しかし、基本的には問い合わせをすることで値段を教えてもらうことができます。中古車とはいえ、安い買い物ではないからこそ、気になったクルマは遠慮なく問い合わせてみたほうが良いでしょう。

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