ロールス・ロイスでも贅沢ではない!? 新型「ゴースト」がジャパンプレミア

気になるゴーストの車両価格は?

 開発におけるアイデア・スケッチの段階で、新型ゴーストのデザインコンセプトは「ポスト・オピュレンス(脱贅沢)」と名付けられた。これはすでに建築やファッション、ジュエリー、ボートなどのデザイン分野で確立されており、純粋さとミニマリズムによって定義されるものだ。

 簡単にいうと、これ見よがしな表現ではなく、素材の本質的な価値を求めるムーブメントのことである。

発表会の会場では、「SCENT」、「TOUCH」、「TASTE」の3つのインスタレーションで、新型ゴーストの世界観を体感
発表会の会場では、「SCENT」、「TOUCH」、「TASTE」の3つのインスタレーションで、新型ゴーストの世界観を体感

 この新しい流れは、リダクション(削減・縮小)とサブスタンス(実質)を特徴としており、これを実現するには、特別な素材を厳選しその価値を活かすことが要求される。デザインは虚飾を抑え、知性と節度を感じさせるものでなければならないのだ。

 ゴーストの発表会は、天王洲アイルのB&C HALLでおこなわれたが、会場にはいってすぐのホールでは、「SCENT」、「TOUCH」、「TASTE」の3つのインスタレーションで、新型ゴーストの世界観を体感できるようになっていた。

 香りがついたミストのなかに足を踏み入れて、香りがどのような記憶を呼び起こすかを試す「SCENT」。ロールス・ロイス独特の洗練された質感を実際に手で触れてみて体感する「TOUCH」。そして「TASTE」では、実際にアート作品の一部かのように並べられたチョコレートを口にして、その見た目からは想像できない味に刺激を受けるという趣向が凝らされていた。

 会場を仕切っている白いアコーディオン状の壁は、視覚的にも柔らかな印象を与えることはもちろん、音を吸収して和らげる効果もあり、それはそのまま新型ゴーストの車内空間を表現したものといっていいだろう。また、会場全体が「ポスト・オピュレンス(脱贅沢)」のコンセプトに則った演出が施されていた。

 会場で展示されていたのは、ゴーストとゴースト・エクステンデッドの2台。エクステンデッドのストレッチされた分は、すべてリアシートのスペースの拡大に使われており、シャンパンを冷やしておくクーラーは標準装備とのことだ。

 ちなみにこのシャンパンクーラーの設定温度は、摂氏6度と摂氏11度のふたつの設定がある。ヴィンテージのシャンパンを冷やす際に、摂氏11度に設定するという。

 事前に発表されていた写真で見る限り、ポスト・オピュレンスを標榜している割には、かなり押し出しの強いフロントマスクであると感じていたが、実際に目の当たりにしたゴーストは、アクの強さよりも優雅さの方が強く感じられた。

 ロールス・ロイスのなかでもゴーストを選ぶカスタマーが求めるものは、流行に左右されないタイムレスで普遍的な変わらないデザイン。それでいて新型車であるからには、新規感も求められる。新型ゴーストは、この一見するとアンビバレンスな要件を見事に融合させたデザインであった。

 車両価格(消費税込)は、ゴーストが3590万円から、ゴースト・エクステンデッドが4200万円から。デリバリーは2021年1月から始まる予定だ。

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