バブル期に登場した“未来のクルマ”今どうなった? トヨタが夢見た車5選
ミニバンを日本に広めたクルマとは?
●「エスティマ」(1990年量産開始)
企画展示ではなく、常設展示には1990年に量産開始した「エスティマ」の1993年型がありました。いわずと知れた、近代ミニバン文化を日本に広めた功労車です
展示資料には「アメリカで急伸していたミニバンマーケットへ投入するため開発された」とあるように、以前、南カリフォルニア州にあるトヨタのデザインスタジオ「キャルティ」を取材した際、正面入り口近くにエスティマの小型デザインモデルが飾ってありました。
デザインされたのは1980年代ですが、当時としてもこれだけガラス面積が大きなコミューターは斬新なアイディアだったと思います。
2020年現在、日本の高級ミニバン市場は「アルファード」がけん引し、小型では「シエンタ」などが存在。さらに軽自動車でも背の高いミニバン形状のモデルが人気となっています。
●「e-com」(1997年東京モーターショー)
「e-com」は2シーターのシティコミューターで、全長2790mm×全幅1475mm×全高1605mm。重量は790kgと軽く、最大出力19kWのモーター搭載のEVです。
まさに、現代の超小型モビリティへとつながるコンセプトモデルです。
こうした発想のクルマは1970年代のオイルショック前後に、土木建築の領域で効率的な都市構造の研究が進み、従来のクルマではなくモビリティというカテゴリとして議論が進みました。
2020年になり、日本では二輪車と四輪車の中間の車両規定として、超小型モビリティの法整備も進み、東京モーターショー2019で公開されたトヨタの超小型モビリティが近い将来に量産される予定です。
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今回実施された企画展「30年前の未来のクルマ」のきっかけとなったのは、トヨタが静岡県裾野市に建設予定の近未来型都市計画「ウーブンシティ」です。
2020年時点での未来のクルマや、未来の都市、そして未来の生活を考えるうえで、“ひと昔前(30年前)”の状況を、コンセプトモデルという実車を通じてユーザーも含めて皆で考えてみようという発想なのです。
2020年現在、CASE (コネクティビティ・自動運転・シェアリングなどの新サービス・電動化)が未来のクルマの代名詞として登場。
その上で、トヨタの豊田章男社長は「自動車産業は100年に一度の大変革」と未来に向けた危機感と挑戦心を露わにしています。
いまから30年後、2050年のクルマは、いったいどうなっているのでしょうか。
Writer: 桃田健史
ジャーナリスト。量産車の研究開発、自動車競技など、自動車産業界にこれまで約40年間かかわる。
IT、環境分野を含めて、世界各地で定常的に取材を続ける。
経済メディア、自動車系メディアでの各種連載、テレビやネットでの社会情勢についての解説、自動車レース番組の解説など。
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