西部警察の劇中車に迫る! ハイテク満載の「RS軍団」はリアリティにこだわった!?

ド派手なカーアクションや銃撃戦、そして爆破シーンなどで子供から大人まで魅了した「西部警察」は、1979年から1984年にテレビ朝日系列で放送された刑事ドラマです。いまもなお多くのファンがおり、まさに後世に語り継がれている名作です。今回は、劇中車両の開発を担当した福田正健さんに、当時のエピソードを聞いた第3弾、そして最終回。「RS軍団」はどうやってつくられたのでしょうか。

現実的な未来を織り込むことでリアリティを追求した「RS軍団」とは!?

 2020年8月、昭和の大スターのひとりである渡哲也さんが亡くなられました。世代によって思い出はそれぞれですが、いまの40代から50代にとっては、1979年から1984年にテレビ朝日系列で放送された「西部警察」で演じた大門圭介のイメージが強いのではないでしょうか。

西部警察に登場した「特別機動車両」のベース車とは!?
西部警察に登場した「特別機動車両」のベース車とは!?

 西部警察の内容については、いまでは実現不可能な爆破シーンやカーチェイスなどがさまざまなメディアで報じられていますが、ここではクルマメディアならではの情報をお届けします。

 それは番組に華を添えた「特別機動車両」の存在です。じつは筆者(山本シンヤ)は、これらの車両の開発を担当した、当時、日産プリンス自動車販売の「特車課」に所属していた福田正健さんに、製作の経緯や苦労話などをお聞きしました。

 最終回は、日産6代目「スカイライン」の「DR30型」をベースにした「RS-1/2/3」の「RS軍団」についてです。

「RS軍団」のベースとなった6代目「スカイライン2000ターボRS」
「RS軍団」のベースとなった6代目「スカイライン2000ターボRS」

――「西部警察パートIII」に登場したRS-1/2/3の「RS軍団」についてうかがいます、この3台体制となったアイデアはどこから出たのでしょう。

福田(敬称略):これも私の考えです。クルマを使う場面のひとつのバリエーションとして「フォーメーション」は必要だろうと。恐らく、軍事的な発想から生まれた事だったと思います。

――RS-1は攻撃車両、RS-2は情報収集車、RS-3は情報分析車と、各々の役目とキャラクターが与えられたのは?

福田:同じスカイラインが3台並ぶので、シッカリと役割を付けようと思いました。モノ作りをするうえで「どう差別化しようか」と「どういうシーンで使ったら面白いのか」などを考えながら企画しました。

――RS-1のアイテムのひととして「攻撃用のマシンガン」が装着されています。これはシリーズ初の装備ですね。

福田:石原プロが「どうしても装着してほしい!!」というので最後は私が折れましたが、RS-1のみでRS-2/3には装着しませんでした。全車に付けるとイメージも大きく変わってしまいますので……。

――アイテムは「3次元レーダー」などハイテク推しになってきますが、その辺りもリアルさを目指したのでしょうか?

福田:当時の軍事情報として「レーダーの3次元化」というニュースが流れており、それを応用させてもらいました。

 といっても、「どのような物なのか?」、「そもそも現実にあるのか?」といった状況でしたので……。ただ、仮に実物を見ることができたら本物と近づける必要が出てくるので、結果的にはよかったなと思っています。

――信号を操作してしまう「シグナルコントロール」も印象的なアイテムのひとつでした。

福田:これはアナログでも可能なことをクルマ用に応用しました。そういう意味では、搭載する機能の多くは火種がまったくないようなアイデアではなく、「いつか実現できるかな?」という発想から生まれたモノが多いです。

――RS-2のトランク内にはロケット砲が搭載されていましたが、放送では一度も使われる事はありませんでした。

福田:RS-2のみトランクが逆ヒンジに変更されています。あれは当初は「エアブレーキ」として使うためのアイデアから採用しましたが、結局ロケットになっていました(笑)。

――マシンXが犯人に奪われ、自動運転車に改造されてしまうストーリー(パートIII第48話)では、3台の機能を連携させてパスワードを解除するというストーリーもありました。

福田:これは飛行機のアクロバットチームによるフォーメーションをイメージしました

――RS-1の最高速は265km/h(アフターバーナー付)、RS-2の最高速は260km/h(装備が重いため)、RS-3の最高速は255km/hと言う設定ですが、実際の走りに関するチューニングはおこなわれていたのでしょうか?

福田:基本的には走りの部分はノーマルです。ただ、RS-3はマシンRS時代にマフラーやエキマニを換装していたと思います。プリンス自販の下には、レース車両や部品を扱っていたプリンス東京スポーツコーナーがあったので、そこで装着したのかもしれません。

――開発期間はマシンXの時と比べて変わりましたか?

福田:変わらないですね。それ以上時間をかけてもモノ作りとしては上手くいきません。実際に製作するのは職人ですが、キッチリとした図面を渡すと融通が利かなってしまうので、私はイメージを伝えるだけで自由にやってもらいました。それも結果としてリアリティに繋がったと思っています。

――ちなみに各マシンは予備車が用意されていたという話も聞きますが?

福田:アクション用の影武者はあったかもしれませんが、私が製作したのはどのモデルも1台のみです。

――西部警察の放送終了から長い時間が経過しましたが、いまも各マシンが当時の姿で残っている事についてはいかがでしょうか?

福田:クルマへの愛着は歳を取ると共に薄れていましたが、このように当時の話ができる事に驚いています。それに関しては各マシンたちに感謝しなければいけないですね。

※ ※ ※

 3回に分けてお届けしてきた西部警察の特別機動車両ですが、今後の保管などはどうなってしまうのでしょうか。

 かつて特別機動車両の一部は北海道小樽市の「石原裕次郎記念館」で展示していましたが、2017年に惜しまれつつ閉館。

 そして、渡哲也さんが亡くなる少し前の2020年7月17日に、石原裕次郎さんの遺言どおり「石原プロモーション」は2021年1月16日をもって業務を終了すると発表されています。

 今後は、映像や音楽とは別に、石原裕次郎さんの遺品は「一般社団法人ISHIHARA」が管理することも明らかになっていますので、特別機動車両もそちらに受け継がれていくのではないでしょうか。

 もしくは神奈川県座間市にある「日産ヘリテージコレクション」に、寄贈という可能性もあります。

 いずれにしても昭和の時代を彩った名作ドラマの準主役級ともいえるクルマたちが、後世にも受け継がれていくことを望みます。

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Writer: 山本シンヤ

自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車メディアの世界に転職。2013年に独立し、「造り手」と「使い手」の両方の想いを伝えるために「自動車研究家」を名乗って活動中。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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3件のコメント

  1. 西部警察や大都会と言えば430型や330型セドリックがアクションシーンでは230型セドリックに変化するお笑い番組だったよな
    石原裕次郎はこんなの本意じゃないよね?
    それと部下が苦労して割り出した黒幕を大門部長は一発で射殺したり、取り調べなんて完全な自白の強要だし、木暮課長のオフィスにナポレオン(酒)とか視聴者バカにしてるよねw
    オープンのガゼールだって飛び乗るよりドア開けたほうが早いだろうに?
    館ひろしが鳩村刑事で二の舞した時が実は石原プロの臨終だったりしてw
    GS650もGSX750刀も乗ったことあるけど一時間も乗ったら身体中ビリビリくる感電バイクだし、石原プロは映画でなきゃね

  2. 信号操作は「おおっ!」って思った。 ガゼールのオープンも格好良かった。 とにかく、現在では実現不可能なロケシーンが多くて面白かった。 アーダコーダと現実離れした点を指摘したむきもあったが、エンタテインメントとしては最高だったね。 SF映画好きだし。カタナ格好良かった。 カタナは初期型を未だに愛車にしているけど、直進安定性が素晴らしいから両手放しでライフル撃つシーンもそれなりに楽しめた。
    エンドで必ず歩きたばこ。 課長が行きつけのバーで引っかけて帰る(多分飲酒運転)ってのはとんでもない刑事ドラマで現在なら目くじらモン。
    まあ、SFに限りなく近い刑事物ってことで。日産が元気だった時代が懐かしい。

    • ?こーいうドラマの類にしか付けない日産は当時から転げ落ちる⛄ですよ
      サファリなんてSD33エンジンですよw
      日産ヘリテージコレクションでも診て取れるのは排気ガス規制前の車の出来の良さまでで、誉められるのは座間で生産されたトラッドサニーくらいでオープンのガゼールなどのZエンジンの2プラグの急速燃焼とかイカサマぶりもうかがえますね。
      私自身も330型グロリアから430型セドリック(双方2800ブロアム)を乗り継ぎましたが同じエンジンでも古く重い330型のL28のほうが加速も良かったですね。
      430型のL28は無駄な制御が割り込んで非力になってしまいました。
      正直、日産は排ガス規制の技術がトロいのでクラウンのM型エンジンより非力になってしまいました。
      NISSANがNAPSならTOYOTAはTT-CL又はTT-CCでしたが日産は下のトルクを犠牲にしすぎました。
      ですから西部警察のような三流ドラマの協力メーカーになることも分からんではありませんが実際は当時から大したメーカーではありませんね。
      マシンXのL20ETも発進では同じスカイラインのLD28DIESELより遅いです。
      バイクではGS650の2バルブに好感を持ちましたが何せドラシャが選びにくい時代でしたので衝動買いしました。GSX刀で四国にツーリングした時は披露で帰路は徳島からフェリーを使ったりもしました。
      だからと言ってTOYOTAもバイクもホンダは大したことないですし、今まで一番良かったのは昔のホンダのCB400Nスーパーホークで限定解除してからも乗ってました。
      因みに限定解除まで中免試験込みで24回でした、途中わざと不合格にする日割りの数合わせの審査に抗議をしたら別室に連行されて別の警察関係者に事情を聴取されました。
      国家権力に噛みついたせいか?その次の審査で限定解除しましたが怒り収まらず再び抗議しましたが連行されませんでした。

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