日本独自の「軽」ではない? いまや普通車並の性能も 東南アジアで独自進化を遂げたワケ
軽自動車は世界進出していた!? 東南アジアで独自発展する経緯とは
じつは軽自動車の海外販売も歴史は古く、スバル「360」は1961年にオーストラリアの現地ディーラーが73台販売し、1968年からは北米市場へ正式に輸出されて約1万台を販売。軽商用車のスバル「サンバー」も北米に輸出されていました。
ダイハツを代表する軽自動車の「ミラ」も1980年代から「クオーレ」の名前でヨーロッパ市場に輸出。排気量の規制がないのでエンジンは途中から排気量アップされ、最終的には1リッターエンジンを搭載。しかし残念ながら2013年に欧州での販売を終了しています。
さらにミラは、東南アジアのマレーシアでも販売された歴史があります。
ダイハツとマレーシア資本の合弁会社、プロドゥア社が1993年に設立されて、ダイハツ車のOEM生産を開始。3代目ミラは「カンチル」の名で製造・販売され、「クリサ」は5代目ミラをベースにしたモデルで、その後継の「ビバ」は6代目ミラがベース。
2014年に登場した現行モデルの「アジア(Axia)」はミライースのプラットフォームをベースにするなど、ダイハツは軽自動車を東南アジア市場に合わせたカタチにアレンジして現地生産しているわけです。
現地生産といえば、南アジアにおけるスズキも語らないわけにはいきません。
1981年にインドでマルチ・スズキ・インディア社を設立し、初代「アルト」とそのセダン版「フロンテ」の兄弟に800ccエンジンを載せて「マルチ800」としてインドで製造販売。その後一度だけモデルチェンジし、2014年まで生産されていました。
インドで2019年1月に発売された新型(現地で3代目)「ワゴンR」は、日本の6代目ワゴンRと同じ最新プラットフォーム「ハーテクト」を採用しています。
ボディサイズは全長3655mm×全幅1620mm×全高1675mmで、エンジンは直列3気筒1リッターまたは直列4気筒1.2リッターを搭載。軽規格とはまったく関係ないコンパクトカーになっているのです。
一方スズキはパキスタンでも、現地法人のパックスズキ社を通して現地生産と販売をおこなっています。
2014年からワゴンRの1リッター仕様を製造し、「キャリイ」は「ボラン」(ワゴン)、「ラヴィ」(トラック)の名で販売。
さらに2019年には日本と同じ660ccのアルトの製造販売を開始しました。現地の道路事情を考慮して最低地上高が15mm高くなっている以外はほぼ日本仕様のままで、バカ売れしているとのことです。
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このように、日本で販売される軽自動車をベースとしてモデルはおもに東南アジア市場で人気を博しています。日本独自の軽自動車規格ではないものの、実質的に軽自動車は世界に進出しています。
しかし、軽自動車の魅力である「実用性」は、日本国内の法規や交通事情に特化しすぎた結果といえますので、東南アジアや南アジアで現地用にアレンジして販売する形で発展しているのです。
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