「ターボ」と「スーチャー」の違いとは? ターボ化はポルシェよりBMWが早かった!

知っているようで知らない自動車専門用語の基礎知識をあらためて解説。ターボチャージャーとスーパーチャージャーの違いについて説明しよう。

ターボとスーパーチャージャー、その違いとは

 フィーリングを楽しんだ自然吸気エンジンはすっかり姿を消し、かつては高性能車やスポーツカーに搭載されていたターボエンジンだが、現在では小排気量エンジンにターボを組み合わせるケースが多くなった。

 たとえばメルセデス・ベンツの場合、ひと昔前は「E350」といえば3.5リッターエンジン、「E250」といえば2.5リッターエンジンを搭載していたが、いまは「E200」は1.5リッターターボ、「E300」は2リッターターボといったように、小排気量エンジンにターボチャージャーを組み合わせている。

 ではこの「ターボチャージャー」と、似ているようでちょっと違う「スーパーチャージャー」というのは、一体どういうものなのだろうか。両者の違いについて解説しよう。

BMWが1972年に発表したコンセプトカーは、その名も「ターボ」
BMWが1972年に発表したコンセプトカーは、その名も「ターボ」

 まずはスーパーチャージャーとターボチャージャーがどうして生み出されたのか、歴史の話からはじめよう。

 もともとスーパーチャージャーやターボチャージャーという過給器は、航空機の発達から生まれたものだ。

 ライト兄弟が飛行機に原動機を搭載し、その動力で離陸して人力で操作することで飛行をしたのは、1903年のことだった。

 その頃の航空機はせいぜい高度100m程度を飛行しているだけだったのだが、搭載されているエンジンの高性能化、機体の高性能化に伴って飛行限界高度はどんどん高くなっていった。

 そこで問題となったのが、高度が上がると空気が薄くなるということだった。
山に登る人は体感したことがあると思うが、高度が高くなると空気が薄くなり、そのぶん酸素量も少なくなる。

 当時の航空機に搭載されていたエンジンは、現代の自動車でもメインの動力源となっているレシプロエンジンだった。これは空気と燃料を混ぜた、混合気をエンジン内部で燃焼させ、それによって動力を得ている。

 ところが、高度が高くなって空気が薄くなり酸素量が減少すると、そのぶん適切に燃やせる燃料も少なくなってしまうので、出力が大幅に低くなってしまう。

 それを解決するために考え出されたのが、スーパーチャージャーというシステムである。これは、エンジンの動力の一部を使ってコンプレッサー(圧縮器)を動かすことで、空気を強制的に圧力を掛けて燃焼室に送り込む、というものだ。

 これにより、高度が高くなって酸素量が減少しても、機械的に圧力を掛けられ高い密度となった空気を供給できることから、低高度の時に近い出力を得ることが可能になった。そのためスーパーチャージャーは、第ニ次世界大戦時の航空機には、ほぼ例外なく採用されるようになっていった。

 クルマだと、1929年に製造されたベントレー「4 1/2リッター ブロワー」にスーパーチャジャーが搭載され、レースシーンで活躍したことは有名だ。

 ところが、スーパーチャージャーには、弱点があった。それはコンプレッサーを駆動するために、エンジンの動力を利用しているということだ。

 航空機が飛躍的に進化を遂げていた大戦期、より大きな出力を求めたエンジン開発が続くなかで、航空機は高度1万mを超える高さでの飛行が現実のものとなっていった。そのとき、スーパーチャージャーによる過給では、動力ロスの大きさが問題となり、高高度での飛行が難しくなってしまったのだ。

 そこで考えられたのが、エンジンが排出している排気ガスの力を利用してコンプレッサーを駆動する、ターボチャージャーというシステムだった。これは、それまでは無駄に捨てられていた排気ガスのエネルギーを利用してコンプレッサーを動かすため、エンジンの動力に対してほとんど影響なく過給をおこなうことができる。

 ただし、問題がないわけではなかった。エンジンの動力を使って駆動するスーパーチャージャーと違い、排気ガスでは動力源としてパワーが小さく、より効率的に排気ガスのパワー利用するために、タービンの摺動抵抗をなるべく抑えるべく高い工作精度が必要となった。また、コンプレッサーは1分間で数万回転するため、高品位な潤滑油も必要となる。

 さらに、高温の排気ガスをタービンの羽根に吹きつけて回転力を得るという構造から、耐熱素材の使用は必須となり、そうした素材を開発するための技術力も必要となった。

 そのため70年ほど前、航空機のレシプロエンジンに搭載するターボチャージャーを実用化していたのは、アメリカなど一部の国のみで、日本では精力的に試験はおこなっていたが、実用化にはいたらなかった。

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