なぜヒストリックカーのボンネットは逆開きが多い? 理由を解明

フロントにエンジンを搭載したクルマでは、エンジンフード(ボンネット)の開き方が数種類ある。しかも、時代によって主流となる開閉方法があるようだ。どうして現在はかつて主流だった「逆アリゲーター式」が採用されないのだろうか。

どうしてアリゲーター式ボンネットが普及したのか?

 アリゲーター式ボンネットのデメリットは、なにかのトラブルでフロント側にあるキャッチが外れた場合、風圧でボンネットが大きく開き、ドライバーの視界を遮ってしまう恐れがあるという点だ。

 しかし、ダブルロックシステムの発明により、その危険性は大きく減少する。

●アリゲーター式の普及で整備性もアップ

アリゲーター式にボンネットが開くと、エンジンルームに3方向からアクセスすることが可能となり、作業効率が上がる
アリゲーター式にボンネットが開くと、エンジンルームに3方向からアクセスすることが可能となり、作業効率が上がる

 ここでぜひ、ご自分のクルマのボンネットを開けてみていただきたい。

 ボンネットロック解除のノブを引っ張ると、ガチャっとロックが外れてボンネットが持ち上がるが、しかしその状態のままではボンネットを完全に開くことはできないはずだ。ボンネットを開けるためには、ボンネットとボディの隙間に手を入れて、ノブやレバーを操作して、ロックを外さなければならない。

 BMWなど一部の車種では、足もとにあるボンネットロック解除レバーを、2回操作しなければロックを完全に外すことができない、というものもある。

 これらの機構はつまり、キャッチのトラブルによって風圧でボンネットが開いてしまわないようにするための工夫である。このダブルロック機構が一般的になったことによって、ボンネットの開きかたはアリゲーター式がスタンダードになったのである。これにより、エンジンルーム内の作業性もアップした。

 さらに、ボンネットは時代に合わせて進化を続けている。ボンネットも丈夫さが一番だということで、裏骨をしっかり配置して作っていたというのは昔の話。現代のボンネットは、前方からの衝撃を吸収するように折れ曲がりやすく、かつフロントガラスを突き破って車室に入ってこないよう、設計されている。

 ベテランドライバーが「最近の車はボンネットが閉めづらい」というのは、昔のクルマのボンネットは、とにかく頑丈で重かったために、自重でロックが掛かるケースが多かったからだ。

 現代のクルマは燃費向上のために軽量化が図られており、ボンネットも必要な強度を満たした上で非常に軽量に作られている。そのため、手を放しても自重でしっかりとロックが掛からないことが多くなった。しかしそのとき、間違った場所を強く押すと、ボンネットが凹んでしまうこともある。

 ボンネットを開けたときには、ボンネットキャッチの位置を確認しておき、その部分のみを短く強く押し込んで、確実にロックをかけるように心掛けたい。

【画像】ボンネットの開き方どっちがカッコイイ?(17枚)

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