アルファ ロメオ ファンなら死ぬまでに一度は行っておきたいミュージアムとは?
どうしてアルファ ロメオを収集する事になったのか、その理由が泣ける
創立者のピエトロ・コッツィ氏は今年で85歳だが、実際の年齢には見えないエネルギーの持ち主だ。彼が発する言葉一句一句にアルファ ロメオ愛がほとばしっている。
60年以上アルファ ロメオと付き合っていると、その間すべてが、輝かしい時ばかりではない、苦しい時代もあったと思う。けれど彼は、いつどんな時も愛を持ってアルファ ロメオと苦楽を共にして来た。
●世界に1台のアルファ ロメオを2台も展示
数々の歴史写真を見てから、真っ赤な空間の真っ赤な階段を降り、地下へと向かう。
建築家ガブリエレ&オスカー・ブラッティの設計のこのミュージアムは、赤・白・黒の3色で構成されている。特にこの赤の階段が印象的だ。地階に着いたと思った瞬間、視界にはアルファ ロメオが飛び込んでくるという仕掛けだ。
そこにはコッツィ氏が長い時間をかけて集めてきた60台のアルファ ロメオが並んでいる。コレックションのきっかけは、新車への乗り換えの際に下取りとして引き取ったクルマだった。通常ならその下取り車は、そのまま解体場へと運ばれていく。
あるとき、下取りとして置かれていった黄色いジュリエッタTiが目に入り、「可哀想に、解体場行きなんて……」と、心が痛んだそうだ。コッツィ氏は社員に解体場には運ばず、「そのまま置いておくように」と指示。このひとことで、ジュリエッタTiは一命を取り留めた。
そしてその後も、「そのまま置いておくように」という指示が続いた。なかには、「6C2500 Frecia d’Oro(1950年)」、「6C 2500 Super Sport(1950年)」など古いクルマも置かれていった。
そして気が付いたら60台にもなっていた、という。
またコッツィ氏はクルマだけではなく、ディーラーに送られてきた資料、すべてを丁寧に保管している。なかには当時の封筒のまま保管されているものもある。
ディーラーの資料は時々見かけるけれど、60年以上むかしの資料がすべて揃っているというのはなかなかお目にかかれない。とくに私の心がくすぐられたのはディーラーに配られたポスターだ。これは素晴らしい。と同時に、マーケティング資料も興味津々。そこに記された数字には、当時の販売の状況が顕著にあらわれてる。
このミュージアムが完成したのは、2015年のこと。コッツィ氏が80歳、ディーラーになってから60年という年だった。コッツィは「このふたつをお祝いし、自分と共に歩んできたアルファ ロメオの歴史を語るミュージアムを作ろう!」と行動を開始。
60台のクルマのなかには、世界に1台しかないというクルマが2台もある。その他はほとんどの人が知っている、暮らしのなかで見かけた事があるアルファ ロメオばかりだ。そこがまた感動する。まさに自分たちの暮らしのなかにあったアルファ ロメオが並んでいるからだ。自分の人生とアルファ ロメオが交差する。
ミュージアムのなかに「Cozzi.Lab」というアーカイブがある。ここには、コッツィ氏が集めたアルファ ロメオの資料がしっかり保管されている。日本ではなかなか見られないものばかり、必見である。
今年85歳になるコッツィ氏は、「時代によって、規制やテクノロジーなどの組織のあり方は変わるけど、その時代ごとに作られたクルマには関わった人の頭脳や苦労や心が変わらず存在するのだ」と言う。
彼のエネルギーこそ、アルファ ロメオへの愛の証だ。こんな素晴らしいミュージアムまで作ってしまうのだから。
このミュージアムの責任者は娘のエリザベッタだ。これまた父親に似てパワー溢れる女性、父親のアルファ愛をそのままそっくり彼女が引き継いでいる。ちなみに、コッツィ家は現在、アルファ ロメオだけではなく、他メーカーも扱っているディーラーだ。
Museo Fratelli Cozziは、開館日をサイトに記載しているので、訪れる際は事前に開館日を要チェック。アルフィスタの人は、聖地アレーゼのアルファ ロメオ歴史博物館とMuseo Fratelli Cozziをタブルで見学することをお勧めする。
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