異形のフェラーリ!! ザガートが手掛けると価格も跳ねる!

注文主とデザイナー、ふたりの日本人が関係したザガート製フェラーリとは

 フェラーリ「575GTザガート」、通称575GTZは、フェラーリ社が自ら「ワンオフ・プログラム」をスタートさせる直前に、カロッツェリア・ザガートが自主的に製作したスペシャルである。

 企画当時のフェラーリ最上級車「575Mマラネロ」をベースに、ミラノの名門カロッツェリア・ザガートが製作したビスポーク・モデルである。

●2005 フェラーリ「575 GTZザガート」

本来は、2台のみ製作されることになっていたフェラーリ「575 GTZザガート」(C)2020 Courtesy of RM Sotheby's
本来は、2台のみ製作されることになっていたフェラーリ「575 GTZザガート」(C)2020 Courtesy of RM Sotheby's

 この575GTZは、実は日本と深い関わりがあるスペチアーレだ。デザインワークを担当したのは、ザガートにて永らくチーフスタイリストの地位にある日本人デザイナー、原田則彦氏だった。

 そして、当初製作された2台のオリジナルモデルをオーダーしたのは、かつては世界トップクラスの自動車コレクターだった日本人愛好家「Y.H」氏。イタリアのみならず、世界最高峰に位置するブランドであるフェラーリとザガートの「ダブルネーム」作品には、実は2人の日本人が密接に関与していたのだ。

 かねてから原田氏のデザインに惚れこんでいたY.H.氏は、グレー/シルバー2トーンの1号車と、ブラック/グレー2トーンの2号車の2台だけを作らせる条件で、カロッツェリア・ザガートと契約を結んでいたという。

 ところが、製作年の「コンコルソ・デレガンツァ・ヴィラ・デステ」をはじめとするプレゼンテーションの場で熱狂的な支持を受けたことから、ザガートはもう数台の製作と販売を独断で強行。Y.H.氏を大いに立腹させたと聞いている。

 今回の「SHIFT MONTEREY」オークションに出品されたのは、あとになってザガート主導で作られたうちの1台で、唯一アメリカにデリバリーされた個体とのことである。

 のちに某スーパーカー専門誌の企画で、Y.H.氏のオリジナル575GTZをみっちりと取材、テストドライブする栄誉まで賜った上に、2007年秋に筆者もオーガナイザーの一人として主催した「第1回東京コンコース・デレガンス」では、わざわざ頼み込んで特別展示させていただいた思い出もあるせいか、その兄弟である今回の出品車にいかなる評価が下されるかには、とても興味を抱いていた。

 この個体のオーナーとRMサザビーズ社が設定したエスティメートは、175万ドル−225万ドル(邦貨換算約1億8500万円−2億3800万円)と、現状では史上最後となるザガート製フェラーリに相応しい、高い価格が設定されていた。

 ところが2020年8月14日に締め切られた競売では、150万ドル(邦貨換算約1億6000万円)まで上昇したものの、ここでオークションは終了。この車両のオーナーが秘密裏に示したリザーヴ(最低落札価格)には及ばず、あえなく流札となってしまった。現状では「Still For Sale」となっているので、RMサザビーズの営業部門と個別商談が可能ということだろう。

 ところで蛇足ながら、RMサザビーズのWEBカタログでは、このクルマの創作にも関与したY.H氏のフルネームもローマ字で記されている。でも、若い頃から同氏の薫陶を受けて、本当にお世話になってきた筆者は、ここでは敬意を表するべくあえてイニシャルだけの表記とさせていただいたことを、平にお赦しいただきたい。

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