なぜ出した? 販売わずか1年のクルマ!? 短命だった車5選
新型車の開発には莫大な時間とお金がかかります。そのためメーカーとしては、なるべく長く、たくさんの台数が売れることが理想ですが、なかなかそう簡単にはいかないものです。そこで、短命だったクルマを5車種ピックアップして紹介します。
短命なのは想定どおり!? そうでもなさそうなモデルもあり?
近年は世界的にモデルチェンジのサイクルが長い傾向があります。しかし、かつては4年というのがモデルチェンジのサイクルとして一般的でした。現在は、6年から8年、長いクルマでは10年以上もフルモデルチェンジされません。
新型車の開発には莫大な時間、労力、お金がかかるので、メーカーとしては、なるべく長く売りたいというのが本音でしょう。
しかし、長く売り続けると商品としての魅力が低下していくため、いつかはモデルチェンジや販売終了という選択に迫られます。
そこで、いろいろな事情で短命に終わったクルマを、5車種ピックアップして紹介します。
●ホンダ「ライフ」
1971年に発売されたホンダ初代「ライフ」は、大ヒットした「N360」の後継車としてデビューした、360cc時代の軽自動車です。
その後、ホンダは一旦軽自動車の製造から撤退しますが、1985年に550ccの初代「トゥデイ」を発売することで、軽自動車市場に復活。そして、1997年に2代目となる「ライフ」を発売します。
2代目ライフは2代目トゥデイとシャシやエンジンなど、主要なコンポーネンツを共有したトールワゴンタイプのモデルでしたが、わずか1年半ほどで生産を終了するという、異常なほど短命に終わります。
しかし、決して売れなかったわけでなく、1998年に軽自動車規格が変わり、ボディサイズが大きくなったため、短命となることは想定されていました。
そして1998年には新規格に対応した3代目が発売されたので、販売が途切れることはありませんでしたが、この1年半というわずかな期間のために、多くの部品を新規で開発したことは、驚かされます。
●ダイハツ「ソニカ」
2006年に発売されたダイハツの新世代軽スペシャリティカー「ソニカ」は、すでに軽自動車市場ではトールワゴンが主流だったにも関わらず、1470mmに抑えられた低い全高によるスタイリッシュなフォルムが印象的なモデルです。
ターゲットを若い男女に設定して開発され、これまでにない軽スペシャリティカーを実現するために、ボディ各所に風切り音やロードノイズを低減させる技術を採用することで、静粛性が高められています。
また、ドアの解錠や施錠、エンジンの始動と停止が可能なキーフリーシステムや、一部グレードには花粉除去モード付きのオートエアコン、セキュリティアラームが採用されるなど、装備も充実。
走りを重視した結果、搭載されたエンジンは最高出力64馬力を発揮する660cc直列3気筒ターボのみで、トランスミッションはCVTが組み合わされました。
パワーに余裕がある走りと、低い全高による低重心ボディ、ロングホイールベース化などにより、優れた走行安定性と乗り心地の良い快適な走りを両立。
発売当時、実際にソニカの走りや品質は高く評価されましが、市場にはすでに軽スペシャリティカーのニーズが無く、販売は低迷。発売からわずか3年後の2009年に生産を終了し、後継車はありませんでした。
●トヨタ「ヴォルツ」
2002年に発売されたトヨタ「ヴォルツ」は、アメリカの若い世代をターゲットに開発された、クロスオーバータイプのSUVです。
トヨタとGMが共同開発し、生産もアメリカでおこなわれ、日本では輸入車として販売されました。
クーペとハイトワゴンを足したようなボディは、フロントバンパーからフロントフェンダー、サイドアンダーパネル、リアバンパーがボディ色とは異なるグレーに塗装され、SUVらしさを表現。
搭載されたエンジンは2種類の1.8リッター直列4気筒DOHCで、どちらも「セリカ」に搭載されていたスポーティなユニットです。
「Z」グレードには、最高出力190馬力を誇る「2ZZ-GE型」エンジンが積まれ、トランスミッションは4速ATに加え、6速MTも用意されていました。
アメリカでのセールスは好調でしたが、日本ではトヨタ車らしからぬデザインが受け入れられなかったのか、販売は低迷。発売からわずか1年8か月で販売を終了しています。
2代目ライフは1997年4月から1998年10月のわずか1年半の間に35万台あまりが生産されました。ただし、あくまでも生産台数であって実際の販売台数は相当少ないのではないかと。
生産台数の大半がレンタカーとして登録され、生産されて残った在庫はそのままスクラップにされたかのどちらかでしょう。