屋根がクルッと回転するクルマがあった!? 面白いオープンカー3選

天気が良い日に屋根を開けて、開放感あふれる走りが楽しめるのがオープンカーの魅力です。近年はソフトトップや電動メタルトップが主流ですが、なかにはユニークなモデルが存在。そこで、面白いギミックや珍しいタイプのオープンカーを、3車種ピックアップして紹介します。

ユニークすぎるオープンカーを振り返る

 いまは連日のように猛暑が続いており、オープンカー好きには辛い季節です。しかし、陽光を浴びながら風を感じて走るオープンカーの魅力は、一度経験すると病みつきになります。

いまでは見られないユニークなオープンカーたち
いまでは見られないユニークなオープンカーたち

 現在、販売されているオープンカーは、折り畳める柔らかいビニール状の屋根のソフトトップと、耐候性や静粛性に優れた電動メタルトップが主流で、上部のみが取り外せるタルガトップもあります。

 一方で、かつてはユニークなオープンカーが存在。そこで、面白いギミックを搭載していたり、珍しいタイプのオープンカーを、3車種ピックアップして紹介します。

●メルセデス・マイバッハ「G650ランドレー」

まさに選ばれたセレブが乗るオープンカーの「G650ランドレー」
まさに選ばれたセレブが乗るオープンカーの「G650ランドレー」

 さまざまな屋根のなかでも「ランドーレット」といわれる形態は、非常に珍しいタイプのオープンカーのひとつです。

 ランドーレットの起源は古く、馬車の時代からあり、運転席と客席が分離されて運転席には屋根がなく、後席のみに幌などの屋根を備えたものを「ランドートップ」と呼んでいました。

 クルマの場合のランドーレットは後席のみがオープンとなるタイプで、パレードなどの際に要人や有名人を乗せることが主な用途でした。

 ランドーレットは多くの販売台数が見込めないため、自動車メーカーが作るのではなく、外装専門業者(コーチビルダー)が市販車をベースに改造するケースがほとんどでした。

 自動車メーカーがラインナップした例では、ドイツのコーチビルダー、バウアー社が1970年代に製造したBMW「2002 バウアーカブリオ」や2代目「3シリーズ」の「318 バウアーTC(トップカブリオ)」があり、後者は日本にも正規輸入されています。

 近年では極少数の販売でしたが、高級車ブランド、マイバッハからエグゼクティブサルーン「62」の後席上部のみを開閉可能にした「62ランドレー」や、「Gクラス」をベースにしたメルセデス・マイバッハ「G650ランドレー」などがありました。

 G650ランドレーはメルセデス・マイバッハ初のSUVとして、世界限定99台で2018年に販売されました。価格は日本円で約1億2000万円と途方も無い値段で、内装も贅の限りを尽くしています。

 当時、G650ランドレーのプロモーションビデオが公開されましたが、南アフリカのサバンナで撮影されており、まさに大金持ちが後席に乗ってサファリを楽しむにようなイメージでした。

●ホンダ「CR-Xデルソル」

ギミックがユニークながら販売は芳しくなかった「CR-Xデルソル」
ギミックがユニークながら販売は芳しくなかった「CR-Xデルソル」

 1983年に発売されたホンダ「バラードスポーツ CR-X」は、3代目「シビック」と多くのコンポーネンツを共有して開発されたライトウエイトスポーツです。

 シビックよりもショートホイールベースとされ、軽量な車体と相まって高い運動性能を誇りました。

 1987年には初代からキープコンセプトとしながら、より高性能なエンジンを搭載した2代目が登場。

 そして、1992年に発売された3代目「CR-Xデルソル(delSol)」は大きくコンセプトを変え、タルガトップのオープン2シーターモデルへと変貌しました。

 ルーフの開閉機構は2種類あり、ひとつは手動の脱着式で、もうひとつが電動の「トランストップ」と呼称されたタイプです。

 トランストップは屋根部分がトランクに格納されるのは手動式と同じですが、そのギミックが非常にユニークで、具体的には、まずトランクリッドが垂直に上昇し、リッドの左右からアームが伸びて、屋根の後端が少し持ち上がるとアームが屋根のなかに入っていき、そのまま屋根を保持した状態でリッドに格納するというものです。

 ちょうど四角いお盆を両手で持つようなイメージで、当時は、かなり複雑な機構が開発されたということで大いに話題となりました。

 CR-Xデルソルのトップグレードには、最高出力170馬力を発揮する1.6リッター直列4気筒VTECエンジンが搭載され、4輪ダブルウイッシュボーンの優れた足まわりを採用するなど、スポーツカーといえる走りを実現しています。

 しかし、トランストップは重量増につながり、2代目までのライトウエイトスポーツというイメージは薄れ、さらにオープン化されたことで、ボディ剛性の低下も懸念されました。

 もともとCR-Xは走りを重視したユーザーから人気のモデルでしたが、3代目は従来のCR-Xユーザーから敬遠され販売は振るわず、この代をもってCR-Xは消滅してしまいました。

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