「シーマ現象」ではなく「クラウン現象」だった!? 意外と知られていない車にまつわる話5選

クルマについての報道は毎日繰り返されています。なかには社会現象にまで発展する話題もあれば、風化して忘れ去られてしまったり、「じつはこうだった」というような話題も存在。そこで、意外と知られていない車にまつわる話を5つピックアップして紹介します。

クルマにまつわる隠れた真実を振り返る

 新型車やマイナーチェンジがおこなわれると、報道が加熱して、一気に話題が広がります。ほかにも自動車メーカーの業績に関することや、不祥事などネガティブな話題も注目されるのが通例です。

面白いエピソードがあるクルマたち
面白いエピソードがあるクルマたち

 一方で、かつて大いに話題となっても風化することで忘れ去られたり、あまり話題にならず「じつはこうだった」というような話も存在。

 そこで、意外と知られていない車にまつわる話を5つピックアップして紹介します。

●ハイブリッドシステムはトヨタよりも日産の方が優れていた!?

システムは秀逸だがスタディモデルだった「ティーノハイブリッド」
システムは秀逸だがスタディモデルだった「ティーノハイブリッド」

 トヨタは1997年に世界初の量産ハイブリッド車、初代「プリウス」を発売。当時としては驚異的な28km/L(10・15モード)という低燃費を誇り、世界中から絶賛されました。

 そしてプリウスに対抗するため、1999年にホンダ初代「インサイト」が発売され、2000年には日産が「ティーノハイブリッド」を100台限定で販売を開始。

 ティーノハイブリッドは1998年に発売されたハイトワゴン「ティーノ」をベースにモーター、バッテリー、インバーターを追加し、燃費を同クラスのガソリン車の2倍以上とする開発目標が設定されていました。

 パワーユニットは最高出力101馬力の1.8リッター直列4気筒エンジンと、23馬力の駆動用モーターと発電用モーターを組み合わせ、トランスミッションはCVTを採用し、クラッチを使って動力の切り替えをおこないました。

 バッテリーは当時のプリウスでも採用していなかったリチウムイオン電池を自動車用として世界で初めて搭載。

 加速時はモーターがエンジンをアシストし、減速時にはモーターで発電をおこなって回生した電力をバッテリーに充電、さらに発進時や低速走行時はモーターのみで走行するEV走行も可能でした。

 このハイブリッドシステムは現在のストロングハイブリッドとほぼ同じ機能を実現しており、機能的には初代プリウスを凌駕していたことになります。

 ワゴンボディで室内も広く、高い完成度を誇っていたティーノハイブリッドでしたが、約1.5トンの車重だったため燃費は23km/Lとプリウスを下まわっており、価格も315万円(消費税含まず)とプリウスよりも100万円高に設定されていました。

 それでも、ネットによる予約購入という当時としては斬新な販売方法がとられ、限定100台は即日完売しています。

 その後、日産のハイブリッド車は、ティーノハイブリッド発売から10年後の2010年に登場した「フーガハイブリッド」まで待たなければなりませんでした。

●ホンダには幻となったスポーツカーが2台もある

現存しておらず、本当に幻となった「スポーツ360」(画像は復刻したレプリカ)
現存しておらず、本当に幻となった「スポーツ360」(画像は復刻したレプリカ)

 自動車メーカーは数年先の発売を見込んで新型車の開発をスタートさせますが、景気やトレンドの変化、マーケットの動向などによって、開発が凍結されてお蔵入りになることがあります。

 お蔵入りになった有名なモデルとして、スポーツカーの日産「MID4」がありますが、ホンダも2台のスポーツカーの発売を断念した歴史があります。

 1台は1962年の第9回全日本自動車ショーに展示された、赤い小さなオープンカー「スポーツ360」です。

 ほかに軽トラックの「T360」と「スポーツ500」が展示され、どれかがホンダ初の4輪車になることが決まっていましたが、結果T360がホンダ初の4輪車として発売され、続いて「S500」を発売。スポーツ360は発売されませんでした。

 理由としては「世界に通用するスポーツカー」とすることへの方向転換で、軽自動車は内需が期待できるトラックのみとされ、スポーツ360は発売されることなく幻のモデルになってしまいます。

 その後のスポーツ360は行方不明になりましたが、ホンダの有志によりスポーツ360の復刻プロジェクトが立ち上がり、東京モーターショー2013でお披露目されました。

 そして、もう1台の幻のスポーツカーは、日本でアキュラブランドから2010年に発売する予定だったモデルです。

 ホンダのスーパーカーである「NSX」の後継車として、V型10気筒エンジンをフロントに搭載し、リアタイヤを駆動するFRを基本とした4WD車という概要も決定していました。

 しかし、2008年にリーマンショックが起こり、世界規模で景気が急速に悪化したことで、ホンダは日本におけるアキュラブランドの展開を白紙に戻し、同時に新型スポーツカーの開発も凍結しました。

 幻となった新型スポーツカーでしたが、2010年に「HSV-010」の名でスーパーGTに参戦することが決定。これは、スーパーGTに参戦するためのベース車両が無いホンダにとって、苦肉の策といえます。

 その後、世界経済が回復したため新たなスポーツカーの開発がスタートし、2017年に新型NSXが発売されました。

●マツダは軽自動車にもロータリーエンジンを搭載しようとした!

残念ながら軽自動車初のロータリーエンジン搭載車になれなかった「シャンテ」
残念ながら軽自動車初のロータリーエンジン搭載車になれなかった「シャンテ」

 1967年にマツダは世界初の量産ロータリーエンジンを搭載した、「コスモ スポーツ」を発売。未来感のある斬新なフォルムに、高性能なロータリーエンジンを組み合わせ、大いに話題となりました。

 その後、マツダはロータリーエンジン搭載車の拡充を開始。1970年代にはスポーツカーだけでなく、さまざまなジャンルの車種にロータリーエンジンを搭載する、フルラインナップ化を進めました。

 たとえば、マイクロバスの「パークウェイロータリー26」、ピックアップトラックの「ロータリーピックアップ」(アメリカ向け)、大型高級セダンの「ロードペーサー」などを開発。

 さらにマツダは、軽自動車の「シャンテ」にもロータリーエンジンを搭載する予定でした。シャンテは1972年発売された、360cc直列2気筒2サイクルエンジンを搭載する軽乗用車で、ファストバックスタイルのスタイリッシュなボディが特徴です。

 このシャンテ用にシングルローターのロータリーエンジンを新たに開発し、試作も完了していましたが、運輸省からの許可が取れず、発売を断念したといいます。

 ちなみに、当時は他メーカーもロータリーエンジンの開発をおこなっており、日産は2代目「サニー」にロータリーエンジンを搭載したプロトタイプを製作。2代目「シルビア」にロータリーエンジン搭載して発売する予定でした。

 しかし、オイルショックや排出ガス規制の強化によってお蔵入りし、ロータリーエンジンの開発も中止しています。

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1件のコメント

  1. シーマなんて結局は単なるY31セドグロなんだけど、無知って罪じゃないけど愚かで哀れだよな、シーマならVG30Eのブロアムのほうが車としては格段に上だったのだが、なんで皆さん価格=高級なんだろうか?
    クランクも先代5ナンバーの5M系エンジンのロイヤルサルーンのほうが良いね。

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