なぜ東名利用者にPR? 秦野市と大和市が横断幕をが掲げる理由とは
日本の物流における大動脈といわれる東名高速道路の神奈川エリアには、秦野市と大和市の両市をPRするための横断幕が掲げられており、ユーザーから注目を集めています。なぜ、高速道路の本線上に横断幕を設置しているのでしょうか。
交通量およそ42万台/日、東名へのPRは効果抜群?
東名高速道路の神奈川エリアには、本線上を横切る橋の柵部分に通過する秦野市と大和市をPRするための横断幕が掲げられており、ユーザーだけでなくさまざまな方面から注目を集めています。なぜ、通過してしまう市の横断幕を設置しているのでしょうか。
東名高速道路は、東京都世田谷区にある東京ICから愛知県小牧市の小牧ICを結ぶ高速道路です。その途中では神奈川県を通過しますが、そのなかの秦野市と大和市のエリアにかかる陸橋には、両市をPRする横断幕が掲げられており、通行するユーザーからの注目を集めています。
横断幕には、「丹沢の登山口 ようこそ秦野へ」や「70代を高齢者と呼ばない街 大和市」といったキャッチコピーが印刷されています。なかでも大和市のコピーには、過去に作家の村上春樹氏もラジオ内で言及し、インターネット上などで話題を呼びました。
では、なぜ両市は横断幕を掲げるのでしょうか。秦野市役所の担当者は以下のように話します。
「1日あたり何万台ものクルマが通行する東名高速道路に横断幕を掲示することで、通過する車両に向けて本市の特色をPRするため、2019年2月から設置しました」
中日本高速道路株式会社によると、2018年における東名高速道路の利用交通量は、1日あたり41万7714台とのことです。多くのドライバーの目に止まることから、効果的なPRといえるでしょう。
また、同市の担当者によれば、市での設置は2019年からであるものの、それ以前から秦野市ライオンズクラブがPRのために横断幕を設置していたとのことで、横断幕によるPRは歴史ある手段のようでした。
なお、2021年度には新東名高速走路の伊勢原大山ICから秦野IC区間について、開通が予定されています。もしかすれば、新たな交通網として開通予定の新東名高速でも、秦野市の横断幕を目にすることができるかもしれません。
一方、国内随一といえるベストセラー作家の興味をひくことに成功した大和市はどうでしょうか。大和市役所の担当者は以下のように話します。
――なぜ、東名高速道路に横断幕を掲げるのでしょうか。
まず、大和市では、「70歳代を高齢者といわない都市宣言」をしています。一般的に高齢者は65歳以上を指しますが、高齢者の固定観念を変えるべく宣言をし、取り組んでいます。それについて、多くの人に知ってもらうため、横断幕を設置しています。
――村上春樹氏が言及するなど話題を呼びましたが、反響はあったのでしょうか。
不定期ですが、メディアからの取材は増えました。また、具体的な人数は把握していませんが、一般の人も多数見に来ていらっしゃったと報告されています。
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なお、大和市の「70歳代を高齢者といわない都市宣言」とは、あくまで観念を変えていくことを目的とされており、条例や交通ルールで定められた規定には影響がないようです。
東名高速への横断幕は、両市ともに地域の魅力を伝えるという意味合いがありましたが、大和市はより具体的な取り組みに対してのPRのようで、その効果を着々と現れているようでした。
また、先述したとおり、2023年には新東名高速道路も全線で開通を予定しています。一般ユーザーだけでなく有名作家からも注目を集めた高速道路への横断幕というPR方法は、秦野市と大和市を中心に、広がりを見せるかもしれません。
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