運転中に大地震発生! ドライバーはどう対処? 覚えておきたい災害時の交通ルール
東日本大震災が発生したとき、東京都心では震度5強の揺れが観測されましたが、これに伴い、交通が麻痺してしまうほどの大渋滞が発生。救急や消防の緊急車両の通行に支障をきたし、大きな問題となりました。これを踏まえて、警視庁は東京で震度6弱以上の地震が発生した場合の交通規制を発表。大規模災害時に実施される交通規制とはどういうものなのでしょうか。
大地震が発生したら交通規制がおこなわれる訳
2012年3月5日、警視庁より首都直下型の大地震発生時に、東京都内で実施される交通規制について新しいルールが発表、施行されました。
これは、その時点から1年前に起きた東日本大震災の際、都心部で交通が麻痺するほどの大渋滞が発生したことを踏まえ、都心部の交通量を減らし、人命救助や消火活動などのための緊急自動車を円滑に通行させるための措置で、道路交通法や災害対策基本法に基づく交通規制です。
規制が実施されるのは、基本的には震度6弱以上の地震が発生したときとなります。ただし場合によっては、震度5強の地震でも状況に応じて規制が実施されます。ちなみに、東日本大震災の時の東京都心部は、最大で震度5強を記録しました。
交通規制では、都心をぐるっと囲んでいる環状7号線(通称、環七)から内側への通行が禁止となります。主な交差点では警察官が配置されるとともに、「防災型信号機」が作動し、都心へのクルマの流入を防ぎます。
さらに、環状7号線の外側を走る環状8号線内から都市方向へ流入する一般車両の通行も、信号制御で抑制されるようになります。
交通規制の発表から2年後の2016年末、警視庁は都民を対象に大地震発生時の交通規制の認知度、および交通行動に関するアンケートを実施しています。
そのときの交通規制の認知度は62.9%、被災後はクルマを使用しないなどの自動車利用のお願いについては60.7%が認知していましたが、その調査からさらに3年が過ぎた現在、規制の認知度の低下が心配されます。
南海トラフを震源とするマグニチュード8、あるいは9クラスの巨大地震が、30年内に80%の確率で起こると言われています(2018年発表)。
首都直下型地震は、2014年発表で30年以内に70%の確率で発生するともいわれており、大地震がいつ発生しても、不思議ではありません。
そのときに備えて、食料や飲料の備蓄や防災グッズを用意しておくことはもちろんのこと、ドライバーであれば、運転時に災害に遭遇した際の対応の仕方や交通規制もあらかじめ頭に入れておけば、その後の行動もスムーズにおこなうことができます。
東京都における大地震発生時の交通規制は、どのようになっているのでしょうか。
交通規制は、発生直後に実施される「第一次交通規制」と、大地震発生から12時間から24時間後、救助活動や支援物資の搬送を円滑に進めるための「第二次交通規制」に分かれています。
第一次交通規制では、環状7号線から都心方面への車両の通行が禁止となります。
そして、下記の一般道路6路線と高速道路が、消防、警察、自衛隊等の「緊急自動車専用路」に指定され、車両の通行が禁止されます。
・国道4号(日光街道ほか)
・国道17号(中山道/白山通り)
・国道20号(甲州街道ほか)
・国道246号(青山通り/玉川通り)
・目白通り/新目白通り
・外堀通り
・高速自動車国道・首都高速道路
なお環状7号線は、う回路として通行でき、専用路を除き、都心とは逆方向に向かうことは規制されません。また、環状8号線から都心方向へのクルマの流入も一部規制されます。
第二次交通規制では、第一次交通規制で指定した緊急自動車専用路を優先的に緊急交通路として指定します。さらに被害状況、道路交通状況、災害応急対策の進捗状況等に応じて、必要な路線が「緊急交通路」に指定され、ライフラインの復旧などの災害応急対策に従事する車両以外は通行できなくなります。
第二次交通規制で規制される可能性があるのは、第一次交通規制で緊急交通路に指定される通り以外の、都内を走る国道12路線と、都道23路線の合計35路線。都内を走る幹線道路、あるいは主要な通りはほぼ網羅されています。
ただし、第二次交通規制で規制されるのは、「被害状況、道路交通状況、災害応急対策の進捗状況等に応じた必要な路線」なので、すべての通りが規制されるわけではなく、また状況に応じて規制する道路が変更される可能性も考えられるので、注意深く情報を確認する必要はあるでしょう。
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大規模災害時における交通規制は、どこの都道府県でも、地域特性に合わせて計画されています。いざというときにあわてることがないよう、よく走行する地域の規制やルールを確認しておくことをおすすめします。
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