日本導入はある? トヨタ3列SUV「ハイランダー」 未発売モデルを公道で味わってみた

RAV4やハリアーとも違う「ハイランダー」の味とは

 その走りはどうだったのでしょうか。一言でいうと、RAV4は「軽快でキビキビ」、ハリアーは「重厚でシットリ」なのに対し、ハイランダーは「穏やかで優しい」でした。

 具体的には、基本的な部分は意のままの走りを誰でも気負いなく体感できるといった基本性能に関してはRAV4/ハリアーと共通です。

 しかし、ステアフィール、ギャップの吸収の仕方、旋回時のクルマの動きなどに、いい意味で薄皮一枚挟まっているような心地よいダルさと重量級ならではドッシリした印象を受けました。

 ただ、誤解してほしくないのは大陸系モデルによくある“大味”な走りではなく、正確なハンドリングのなかで穏やかで優しい「味」に仕上げられている点です。

 そういう意味では、RAV4とハリアーの真ん中、つまり「SUVの王道」といえる味付けだと感じました。クルマのサイズやキャラクターなどを踏まえると高速道路をゆったり走るのが最も得意だと思いますが、RAV4/ハリアーと同じくサーキット/ワインディングでもクルマなりに気持ちよく走れる素性は持っているはずです。

日本では販売されていないトヨタ「ハイランダー」
日本では販売されていないトヨタ「ハイランダー」

 加えて、実際に運転していると視界の良さや前後左右の見切りの良さなどから、大柄なボディサイズを感じさせない取り回しの良さに驚きますが、さすがに駐車場や細い路地でのすれ違いなどでは細心の注意が必要です。

 この走りに3.5リッターV型6気筒が実にいい仕事をしてくれています。トヨタの2GRシリーズの最新作「2GR-FKS」は、2トン越えの車両重量を感じさせない力強さと過給機やモーター付とは違う素直な特性、心地よいサウンド(静粛性が高いので遠くから聞こえるイメージ)など、「やっぱりV6の自然吸気はいいよね」と感じさせてくれます。

 燃費はストップ&ゴーの多い一般道はさすがに厳しい値でしたが、速度変動が少ない高速道路ではボディサイズや車両重量を考えると優秀だと思いました。

 個人的には日本市場でも「3兄弟ラインアップされてもいいのでは?」と思う所はあるものの、現実を見るとこのボディサイズは日本の道では持て余すのも事実です。

 そのため、そのまま右ハンドル化させて導入をというのは厳しいでしょう。ただ、仮に全幅を抑えたナローボディ仕様を開発できれば“アリ”だと思います。その際には「クルーガー」もしくは「ヴァンガード」の名で復活してくれることを期待したいです。

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Writer: 山本シンヤ

自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車メディアの世界に転職。2013年に独立し、「造り手」と「使い手」の両方の想いを伝えるために「自動車研究家」を名乗って活動中。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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1件のコメント

  1. 手取り早くなら、右ハンドルの豪州仕様を輸入販売する手もあるかもよ、名前は日本と同じクルーガー。ただし旧モデルだけどな

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