中古車市場でも高値安定 ホンダ初代「NSX」とはどんなクルマだったのか

1990年に登場したホンダ初代「NSX」。登場からすでに30年、初代モデルの生産終了から15年が経つモデルだが、いまだに中古車市場では高値で取引されている人気車のひとつだ。なぜNSXは人々を魅了するのか。その理由を探る。

NSXの登場は世界のスーパーカーに影響を与えた

 日本で初めてフェラーリやポルシェと同じ土俵で戦えるスーパースポーツとして登場したのがホンダ「NSX」だ。

 先行開発から量産化決定までに長い期間を要したが、1989年2月のシカゴショーでそのベールを脱いでいる。ショーではNS-Xを名乗っていたが、1990年9月の市販時にはNSXという車名になった。

1990年発売のホンダ初代「NSX」
1990年発売のホンダ初代「NSX」

 開発していたのは、第2期ホンダF1の全盛期だ。当時、ホンダのV型6気筒DOHCターボは破竹の快進撃を続けていた。アイルトン・セナやアラン・プロスト、そして中嶋悟などのドライバーが活躍していた時代だ。当然、社内からはF1をイメージするような高性能スポーツカーがほしい、という声が出てきたのである。

 そこでホンダの技術の粋を集めて開発され、積極的に新しい技術を盛り込んだ。初代NSXはクルマ好きの夢が詰まった新しい感覚のスーパースポーツで、創業者の本田宗一郎氏のDNAそのものである。

 だから、その心情を知る本田技術研究所の川本信彦氏は、開発責任者の上原 繁氏を全面的にバックアップし、世界初の技術にも徹底してこだわった。

 その筆頭が、世界で初めてのオールアルミ製モノコックボディだ。

 同じ面積だと剛性値が3分の1になってしまうアルミを上手に使い、工法も変えて鉄よりも高い剛性を実現している。モノコックの骨格からアウタースキンまでアルミ材としたことにより、トータル155kgもの軽量化を達成。車重を1350kgに抑えることに成功し、パワーウエイトレシオは超一級の4kg/ps台に収まっている。

 ミッドシップに搭載するパワーユニットは3リッターの90度V型6気筒SOHC4バルブを予定していた。

 だが、川本信彦氏のひと言で、革新的なDOHC・VTECに変更されている。自然吸気エンジンだが、当時の自主規制値いっぱいの280ps/30.0kgmを達成し、レブリミットの8000rpmまで気持ちよく回った。6000rpmを超えてからはVTECの作動でエンジン音が変わり、刺激的な加速に弾みがつく。アクセルワークに対する俊敏なピックアップもターボでは味わえない魅力だ。

 また、汗をかかないスポーツカーを目指し、ビギナーにも運転しやすく、同乗者も快適なように工夫している。これも1980年代までのスーパーカーにはなかった美点だ。

 5速MTのほか、時代に先駆けて電子制御4速ATを設定し、ラック&ピニオン式のステアリングギアにはパワーアシストを加えた(AT車のみ)。快適性は高く、エアコンもよく効く。

ホンダ初代「NSX」のインパネ(4速ATモデル)
ホンダ初代「NSX」のインパネ(4速ATモデル)

 DOHC・VTECエンジンを積んだためにホイールベースを延ばしたが、これを逆手に取り、低くワイドなボディに十分なトランクスペースを確保し、ゴルフバッグは2個も収納できる。

 サスペンションは前後ともインホイール型ダブルウイッシュボーンで、これもアーム類はアルミ製だ。ブレーキは2ポット式のベンチレーテッドディスクだが、軽量ボディのため制動力に不満はなかったし、耐フェード性も優れている。もちろんABSに加え、トラクションコントロールも標準装備した。

 ほとんどが専用設計で、手の込んだ造りに加え、工場までも新設したスーパースポーツを、ホンダは800万円(消費税抜き)というバーゲン価格で売り出したのである。これは驚くべきことだ。

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